シラバス論: 大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について

前表紙
晶文社, 2019 - 560 ページ
「教育改革」「入試改革」が進めば進むほど、教育格差と格差社会は拡大する。そのすべての原因は、中曽根臨教審から30年も続いている〈知識〉軽視の教育施策にあった。従来の教育改革からも、教育学者からも、置き去りにされてきた「シラバス」改革にこそ、空転し続ける大学改革を再生させる鍵がある。〈知識〉の復活、大学再生を通じて、格差の流動化を訴える画期的論考。諸悪の根源は「教育改革」。大学論のエンサイクロペディア誕生!

「今日の教育の現状を考える上で、シラバス(授業計画)に対する大学や教員の態度をみることは決定的なことだ。文科省の諸施策も含めてあらゆる大学改革が頓挫するのは、シラバスに対する関心が大学内外において薄すぎるところから来ている。/私のシラバス論は、一九九〇年代に始まった〈知識〉論、つまり「知識も大切だが、態度や意欲も、そして人間的な魅力も大切」と言って、一度もその「も」の意味が問われなかった〈教育〉の在り方を再検討するためのものである」(まえがきより)

著者について (2019)

芦田宏直(あしだ・ひろなお) 1954年京都府生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学(哲学、現代思想専攻)。学校法人小山学園理事、同・東京工科専門学校(現東京工科自動車大学校)校長、東海大学教授を経て、現在、学校法人河原学園理事、同・副学園長、人間環境大学・副学長、辻調理師専門学校グループ顧問。2000年度労働省「IT化に対応した職業能力開発研究会」委員、2003年度経済産業省「産業界から見た大学の人材育成評価に関する調査研究」委員、2004~2007年度文科省「特色ある大学教育支援プログラム」審査部会委員、2008年度文科省「質の高い大学教育推進プログラム」審査部会委員などを歴任。著作に『書物の時間──ヘーゲル・フッサール・ハイデガー』(行路社)、『努力する人間になってはいけない──学校と仕事と社会の新人論』(ロゼッタストーン)、翻訳(監訳)にJ.-L.マリオン著『還元と贈与──フッサール・ハイデガー現象学論攷』(行路社)などがある。

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