空白の凶相

前表紙
光文社, 2010/12/20 - 374 ページ
団地の2DKで妻と子と暮らす井沢は幸せな日々を過ごしていた。ある時から、寝ている息子の立てる気配が気になり、妻との夜の生活がうまく行かなくなる。夫婦の営みを覗かれているという不安感は彼が子どもの時に両親から受けた酷い仕打ちが原因だった。不安はやがて、彼が意識の深層に閉じこめた“顔のない男”の記憶に結びつき彼を破滅に導いていく―子どもの心に刻まれた傷痕を描く表題作など傑作六編。

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