検証「ある神話の背景」

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紫峰出版, 2012 - 210 ページ
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渡嘉敷島の集団自決を扱った曽野綾子著『ある神話の背景』
この本はどこまで真実に迫ったのか?
依拠する第3戦隊陣中日誌は本物か、取材は適切だったか、論理は妥当かなど徹底的に検証する。
 

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徹底した資料収集と丹念な読み込みに脱帽
経歴を見ると理論物理学を専攻し、防災関係の仕事に携わっていたというだけあって、一寸の曖昧さも予断も妥協も許さないまさにサイエンティストとうならせ る資料との向き合い方に圧倒される。ストイックなま
でに厳しく緻密に微に入り細をうがつ一方で、軍関係から地理、地誌、気象、天文に至るまでと必要な裏づ けのためには労をいとわぬ広範囲でエネルギッシュなデータの洗い出しが光る。こうした膨大な資料への没頭と考察から、一行一行が生み出され、事実が一つ一 つ明らかになっていく。ノンフィクションのあるべき姿であろう。読者はその過程を著者とともに追体験しながら、真相に近づいていく中で、どこでどのように 事実が捻じ曲げられていったかを知ることになる。埋もれさせてならない沖縄の歴史の一ページへの、失われた島民の命への鎮魂の、著者の人間としての限りな く熱い思いも伝わってくる労作である。  

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著者について (2012)

伊藤秀美:1950年生.1973年東北大理学部物理学科卒、1978年京都大理学研究科物理学専攻中退.防災関係の仕事の傍ら戦史を研究.旧陸軍の暗号関係を中心に著述.

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