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耕作人お晴れやかでおめでたら存しまする。

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有徳人汝、よS梅の木を持った。以後よう目をかけて、 くれぐれも可愛がってくれさしめ。

耕作人また、こなたのお家には一段のど富貴、えびす大 黒にかけまして疑ひもござりますまい。

有徳人当年4一段の実乗りであらうの。

耕作人潰くるほどの梅干を、きつとお勝手口まで届くる でござりませう。

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●原稿には住所・電話番号・本名・年齢・略歴を記入し、必ずとじて下さい。 ●宛先は* 東京都新宿区矢来町1 新潮社内新潮新人賞」係 ●全応募作品より一編を授賞作とし、選考結果は1992年

しかもそれを信じようとするのは、ひとつの宿命といって
もよいが、「文学」はその宿命を見すごして進んでしまう
のである。

私事になるが、私が河上さんを実際に知るようになった
のは、この時期である。二十歳を僅かにこえた学生に河上
さんの心が理解できるはずはないが、この人は何かに耐え
ているという印象はどこかに深く刻みつけられ た のであ
る。それは同時に、小林秀雄の文学にはっきりとした距離
を感じはじめた時期でもあるが、おそまきの青春の信傲の
なかで、しかし自分は河上さんのあとをしばらく歩いてゆ
くことになるだろうという気持を抱いたのを覚えている。

ここで「戦後」にかかれた音楽論にも一寸ふれておきた
い。戦後にあらわれた最初の音楽論集は『現代音楽論』
で、これは昭和二十六年八月に河出書房の市民文庫の一冊
として刊行された。その冒頭にある『音楽の近代性に関す
る一考察』についてはすでに何度かふれたが、これはいま
いった河上さんの思想的アイデンティティの確認の音楽版
ともいうべきものである。戦後の進駐軍放送でたまたまき
いたスイスの現代作曲家フランク・マーチン (マルタン)
の「ハーブとハープシコードと絃とピアノのための交響楽
的協奏曲』の印象から語りはじめて、「二十世紀音楽の擬
古典的傾向」のもつ意味を文化史的にのべている。その内
容はここでは省くが、河上さんの最も本格的なー『ドン・
ジョヴァンニ』を除いて―音楽論であり、音楽史観の陳

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