言及するという目的に限定した上で、ばらばらの紙の 最後に、地図は記号論的装置であること。つまり帝 それゆえ必要条件は、い地図が透明でないこと価領 ここからは、この三つの解谷のそれぞれが克服不可 2.地図作製法 2.1.領土上にひろげられた不透明な地図 不透明であることによって、地図は下にある領土の ることが可能になるのは、地図上の領土に対応する部 パラドックスが克服されるとすれば、それは地図の 要するに宙吊りの地図については、それが不透明な のタイプの折りたたみ判とは異なるとしても、物理的 にはより困難を伴うであろうし、いずれにしても第三 のタイプの地図に妥当する折りたたむことから生ずる パラドックスの危険に晒されることになるだろう。つ まり一枚の地図に対して異議を申し立てれば、それは そのままもう一枚の地図に対しても有効となると思わ れる。 2.3.透明で浸透性をもち、ひろげても方向転換可能 この地図は(たとえばガーゼのような)透明で浸透 しかしながら、トレースしてひろげた後には、臣民 図を置いて回転させ、別方向にひろげるための場とし これらの条件が満たされることによって、臣民たち と。 ここで、臣民各人が地図の縁をつかみ、徐々に後退 しつつその縁を折りたたんでゆく場合を想定してみよ う。臣民全員が折りたたまれた縁を頭上に掲げたま ま、地図の上を、領土の中心に増集してくるという危 機的局面をむかえることになるであろう。いわゆるキ ンタマが縮み上がるような緊急事態である。帝国の全 人口が一個の透明な小養のなかに閉じ込められたまま になるわけであるから、理論的停滞状況であり、肉体 地図が向きを変えてひろげられたときに、臣民たちが 煩瑣で実用に際しても困難を伴うとしても、この問 3.(標準地図〉のパラドックス 地図が全領土を(上にひろげられていようと宙吊り であろうと)覆いつくすように設置された瞬間から、 帝国の領土は、一枚の地図によって全面的に覆われた 領土であるという事実によって特徴づけられることに なる。この特徴について地図はその根拠にはならな |