。 の金をあんたに渡すのはやめる。わしの女房の言うとおり じゃ。責任の有る無しは、警察が判断しよる。わしに責任 があるなら、法律がわしを裁くじゃろう。法律で裁かれた うえに、あんたに金まで払うなら、わしが、あんまりにも 可哀相じゃ。政夫が死んだことへのお見舞金は、わしが警 察から何のお咎めもなかったときに、あんたに渡すことに するけん」 熊吾はそう言って、紙幣の入った封筒を房江に投げて寄 この、いかさま師......。房江は夫の横顔を見て、胸の内 房江は、別の部屋で事のなりゆきをうかがっている音吉 音吉は言って、手酌で酒を飲んだ。 促して、松坂の家から去っていった。 「クソ坊主め!女房 を能吾に伝えた。 と音吉が言った。 泣き腫らした顔をやっとあげてタネは言った。 熊吾はそう言ってから、初めて、タネにいたわりの言葉 ずいぶん長いあいだ、着物を着るということがなかった ので、帯が苦しくて、房江は部屋に戻ろと、セーターとス 房江はそんな気がして、熊吾や音吉に勧められるまま酒 を飲んだ。 「房江、目尻が垂れちょるぞ」 と熊吾が言った。楽しそうな言い方ではなかったが、房 江は、それを、葬儀のあとという状況のせいだと思った。 城辺町から深泥への道は、御荘湾を眺望しながらの山の 深泥の集落から山側へ少し外れたところに、熊吾の従弟 唐沢家の子供たちは、気前のいい熊吾おじさんのお年玉 しかし、茂十が訪れた日以来、熊吾は一度も選挙のこと 唐沢家の屋根と天井のあいだには、もう何年も一匹の青 自分の頭上に大きな蛇がいるという意識さえ失くなれ 房江は、唐沢家の人々と新年の挨拶を交わし、 と言って、三人の子供たちにぽち袋を渡した。伸仁は、 房江よりも二歳年長のイツは、三人の子供たちへのお年 |