新潮, 第 88 巻新潮社, 1991 |
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42 ページ
... だったかと一緒に出かけた。四時半に汽船で待ち合せる筈だった。それなのに、あなたが私に教えた汽船への道は間違っていたのよ」「今度はそんなことは起るまい。もう一度トルコが私たちを呼んだのだからね」「トルコと再会するためには、日本と別れなけれ ...
... だったかと一緒に出かけた。四時半に汽船で待ち合せる筈だった。それなのに、あなたが私に教えた汽船への道は間違っていたのよ」「今度はそんなことは起るまい。もう一度トルコが私たちを呼んだのだからね」「トルコと再会するためには、日本と別れなけれ ...
119 ページ
... だ。おれは体格だけで級長にさせられたようなもんさ。現役入隊でゆくしかないの。くたばるんなら飛行兵も陸軍二等兵も同じよ」灯影のまばらな向こうの通りに人だかりがして薄赤い湯気があがっている。赤提燈の屋台だった。八代の提唱で駆けていって列に並んだ ...
... だ。おれは体格だけで級長にさせられたようなもんさ。現役入隊でゆくしかないの。くたばるんなら飛行兵も陸軍二等兵も同じよ」灯影のまばらな向こうの通りに人だかりがして薄赤い湯気があがっている。赤提燈の屋台だった。八代の提唱で駆けていって列に並んだ ...
225 ページ
... だった。不思議なことにふたりは故里を遠く離れた鎌倉山に吹き寄せられて、近隣づきあいをして慰め合うようになったのだった。ふたりは同い年の青森生れだった。ムクが十七歳で死んだのは、北畠さんの亡くなる五年前の六月だった。老衰で眠るように息を ...
... だった。不思議なことにふたりは故里を遠く離れた鎌倉山に吹き寄せられて、近隣づきあいをして慰め合うようになったのだった。ふたりは同い年の青森生れだった。ムクが十七歳で死んだのは、北畠さんの亡くなる五年前の六月だった。老衰で眠るように息を ...
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多く使われている語句
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