新潮, 第 88 巻、第 7〜9 号 |
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210 ページ
*僕が「我が交友録」と言ふのを、文学界に一年間連すると言ったら、こんちきし
やう書くもんかい、アテ ある。*対当でない相手と喧嘩は. して仕舞つたのである
。何故今日私小説がのたれ死して仕舞つたかと言ふ事は難しい。大勢に論じまく
...
*僕が「我が交友録」と言ふのを、文学界に一年間連すると言ったら、こんちきし
やう書くもんかい、アテ ある。*対当でない相手と喧嘩は. して仕舞つたのである
。何故今日私小説がのたれ死して仕舞つたかと言ふ事は難しい。大勢に論じまく
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211 ページ
直観と主張する『経験人』がある許りだ。糸の無いたこがブンく揚つてゐる。
心棒の無いコマが頭を振廻してみる。眼のある場所に耳が二つ並び、耳のところ
に眼玉が附いてるのは、まるで馬のやうだが、鼻の下を見れば口が縦に付いて
みた。
直観と主張する『経験人』がある許りだ。糸の無いたこがブンく揚つてゐる。
心棒の無いコマが頭を振廻してみる。眼のある場所に耳が二つ並び、耳のところ
に眼玉が附いてるのは、まるで馬のやうだが、鼻の下を見れば口が縦に付いて
みた。
186 ページ
さう言ひきるには、ひとびとの思ひに少し切実なものがありすぎるやうだし、
だいたい、郷愁といふものは現在と同質の対象に向かって働くものではないだら
う。いまはない何ものかがあってこそ、ひとびとの過去への恋情が醸されるのだ
と ...
さう言ひきるには、ひとびとの思ひに少し切実なものがありすぎるやうだし、
だいたい、郷愁といふものは現在と同質の対象に向かって働くものではないだら
う。いまはない何ものかがあってこそ、ひとびとの過去への恋情が醸されるのだ
と ...
187 ページ
さういふ主人公が、ある日、彼と同じ心の空虚を抱いた娘と出会ふところから、
物語は始まる。お君と呼ばれるその女は、震災後の浅草の古倉庫に住んで、
丸ビル周辺の「不良少女」集団の中心人物であるらしいが、「女猫」のやうに
しなやか ...
さういふ主人公が、ある日、彼と同じ心の空虚を抱いた娘と出会ふところから、
物語は始まる。お君と呼ばれるその女は、震災後の浅草の古倉庫に住んで、
丸ビル周辺の「不良少女」集団の中心人物であるらしいが、「女猫」のやうに
しなやか ...
189 ページ
ある意味で大正は幻想する時代であり、幻想そのものによって構築された時代
なのであるが、あたかもそれを象徴するかのやうに、大正の東京はこの物語に
先立って震災によって壊滅してみた。だが、このことを裏返せば、大正はまた
幻想が ...
ある意味で大正は幻想する時代であり、幻想そのものによって構築された時代
なのであるが、あたかもそれを象徴するかのやうに、大正の東京はこの物語に
先立って震災によって壊滅してみた。だが、このことを裏返せば、大正はまた
幻想が ...
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