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そうということです。

檄文は私が書きました。書く時、あのサイパンと水俣で
見たものを念頭に置きました。その脈絡で、経済の営利至
上主義がもたらした薬品公害、環境破壊、人心の荒廃、教
育の荒廃、そしてそれを顧みさせぬ、敗戦後この国を決定
的に規制し呪縛してきた、日本を真の国家たらしめぬヤル

ポツダム宣言に拘束されるまま歪んで造成された戦後
体制の打破。日本は私たちの心に繋がる真の国家であっ
て欲しいと。書きたいことは他にも山ほどありはしたが

しかしあれからさらにまた随分の月日が流れましたが、 はたしてこの国は我々の納得出来るような国家らしい国家 になりおおせたのでしょうか。

あらかじめ建物の下見をし、手筈を整えました。ある意 味でことはあの川俣城を焼く時よりも容易に思えた。

ただ私の懸念は、もしその時あの建物の中に会長の土橋 静磨がいたら、多分隊長の秋月は彼を殺して自分もその場 で死ぬに違いないと密かに思っていました。私は個人的に あのひげ達磨みたいな土橋が好きだったし、彼に個人とし ての罪はなかったが、しかしなお彼が現在あの建物の主で ある、というよりこの国をこう変えてしまった努力の代表 であるということで仕方ないことでもあった。そして彼の ような人が犠牲に供されることでこそ、我々の行為の無償

く。エレベーターの前にいるガードマンがその中身を質し
て手こずったら、その後ろから来る秋月が懐の拳銃を出し
て相手を威嚇しそのままエレベーターに連れ込んで七階ま
で上る。私は彼等のそばで遊軍として臨機応変に対処して
事を運ぶ、ということだった。

番狂わせは大谷がエレベーターで待つ間他の客が続いて
乗り込み、その後に来た小野寺が予想した通りガードマン
に荷物の中身を皆されている間に、手間取ると思ったのか
その客がまた出ていき他のエレベーターに乗り移ってしま
ったことでした。ガードマンは小野寺にもう一度鞄の中身
を質し、彼が上でする工事のための測量の機械だという
と、ちょっと中を見せてほしいという。いやここで出すと
中の仕組みが狂って困る云々、といっているのを見て秋月
が懐に手を入れて近づこうとした時、なぜか咄嗟に私が彼
よりも先にエレベーターに乗りこんでしまった。あれは一
種の勘というものだろうか。そしたらガードマンがなぜか
私を見て目礼しました。私も目刺しなおし、「上の現場で
お見せします」、いったらガードマンはそのまま頷いてし
まった。

中で顔を見合わせたが、それで気が緩んだか大谷に続S
てさっきの相客が押したままの六階にまずエレベーターが
止まり、みんな思わずそこで降りてしまった。降りて気づ
いたが、向かいの部屋のプレートを見たら同じ財界連合の
事務所だったので、私が促し四人はまず横の洗面所に入っ

違いない。

わずか一発の発声でその部屋に持続していたありきたり
の時間が突然断ち切られ、彼等にとってはまったく未知の
子想もつかぬ事態が理不尽に突きつけられたということ
を、誰もが瞬時にして悟り、それにどう向かいあっていい
のかわからぬままみんなただましましと私たち一人一人を
見比べ見つめていました。

そして私自身も、自分がまたこうして、今まで二年たら
ず久し振りに過ごしきた世間から再度ある敷居を超えて
並とは大方かたちも中身も違う人生を選んでしまったこと
の実感を噛みしめていました。

秋月が拳銃をかざしながら、
「皆さん、静かにして下さい。私たちはある目的のためにこ
れからこの建物を占拠しますが、人を傷つけるつもりはな
い。まず会長に会って話をしたいが、申し訳ないが皆さんに
そのための人質になっていただく。全員上の会長室までい
ってもらいたい。ただし、抵抗する者はその場で射つ」

いったら、
「あの、会長は今日はもうおられませんよ。三時頃お出に
なりました」

誰かがいった。声に向かって秋月が険しい顔で振り返る
のを見て、
「それでもいい、みんな上にいくんだ」
私がいいました。

り、グロテスクなほどものものしく壮観だった。

それに見人りながらふと思い出していたのは、あの時、
火を点したライターを投げ込むだけで轟音を立てて燃え上
がっていった川俣の屋敷の光景でした。あの瞬間、私は居
並んだ機動隊の向こうに、あの豪勢な火の手を重ねて見入
っていたと思います。

そしてこの今になってみてわかるのは、あの時もその前
の時も、私は結局あの一瞬を、ほとんど一瞬だけに、他の
どんな時よりもはるかに濃く息もつけぬほど楽しんでもS
ました。捨て石とはいいながらも、やっている身にはそり
ゃあ面白かった、あんなに面白いことはなかった。だから
その代償も大きくはあった。でも、生きるという実感は面
白さの中にしかありはしませんよ。たぶんあの時私は矛盾
した話だろうが、仲間も何もかも忘れてうっとりと目の前
にあるものに見とれていたのだと思います。
「あまり窓に近づくと危ないぞ」

誰かが叫んでくれたが、人質もいるのに向こうからいき
なり私一人を射つ訳はない。一歩さがって広い通り越し
に、向かいの建物のテラスにひしめいている機動隊を眺め
なおしてある感慨がありました。千葉の刑務所を出る時子
感した通り、ああ、俺はやっぱりここにこうして戻っ
たな、と思った。後悔でも昂ぶりでもない、とにかくただ
そういう心境でした。

振り向いて部屋の中を眺めなおすと、人質は当然でしょ

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