してしまった! というと、どういうわけだったかまだ左 この夕暮、僕は自覚していたよりさらに手ひどいショッ それから繁君と飛鳥山まで歩いたが、下宿までついて来 ・ そもそも汽車の固い席で本を読んでいたまま終点まで読み つづけていたとしたなら....... 僕は漠然とした将来の設計ながらフランス文学・語学の 僕は買ったまま畳の上に平積みしてある挿絵の入ったデ 短篇集』とか...... 繁君がなんとなくその書棚の本の列について防衛的な態 Kさんと北海道に行く計画はだめになりましたけ |いや、自分でも運転するということで思い立ったん だから。足手まといになるのはね。話は聞きたいけれど 免許証持って同行してくれる人として考えてい るのはね、靖一叔父さんです。もすこしたってから説得に 行きますからね、その時はKさんも一緒に来てください。 われわれの計画をよく説明したいし。靖一叔父さんの方で もKさんに関心を持っていますよ、この前も勉強の「方 法」のことでなにかいっていたでしょう? 『駒場』の小 説も読んだしね、雑誌は母が見せたんですが...... 靖一叔父さんの別居している奥さんは夏枝叔母さんとS うんですが、彼女もね、靖一叔父さんが面白かったといっ 史の、教授が養成されるュースに乗っかっているブリリア ントな学生だった。当時からの婚約者と復員してすぐ結婚 して、靖一叔父さんは大学院に、夏校叔母さんは輸入が再 開された会社で父親の秘書の仕事を始めた。英語力抜群で そのうち実務上の有力なスタッフになった夏枝叔母さん と、大学院を終えるとすぐ母校の講師となった靖一叔父さ んは、理想的なカッブルと見えていたのである。しかし靖 一叔父さんが突然勤めをやめて山羊と弟とともに隠栖する ことになって、ふたりは別居するほかなくなった。中国で 兵士として靖一叔父さんが経験したことに、母親によれば その「現実離れ」は原因があるのだという。別居は仕方が ないが、夏枝叔母さんも靖一叔父さんを憎んでいるという のではない。一方は山羊と鶏を飼って本を読むだけの生 活、片方はダニー・ケイと一緒に日劇の舞台に立って、挨 拶の通訳をしたりするような暮し。むしろ靖一叔父さんの 身内の繁君の家族は夏枝叔母さんに同情をよせている。 さて夏枝叔母さんはアメリカの映画関係者とのつきあい も多く、よくパーティーをする。自分も英語の勉強のつも りで誘いに乗ってきたが、問題はおもだったお客が帰って から内輪だけでさらに飲むことだ。いつも結局は雑魚寝の ようなことになってしまう。自分は酒は飲まないが、靖一 叔父さんの甥として、もし夏枝叔母さんと性関係が生じで もしたらと気が気でない。今度はKさんと一緒だからいい けれど...... 夏枝叔母さんは会社のアメリカ人と寝ている ● あの夜、僕は初対面の年長の女性の家でどうしてあれだ ところがパーティーに集った客たちが帰る段になって、 酔いがさめてからも覚えていた、それに続く光景は、普 |