た。そしてその段階ではしめて夏枝叔母さんだとわかった 人の声が、驚いても怯えてもいない穏やかさで座ってきた のだ。 ーあなた、誰? ......繁君の家庭教師のKちゃんな それから夏技叔母さんは、さすがにさきよりはこちらか ーそれでは、やりますか? ーやりましょう、せっかくの機会だから。 -嫌よ、私は靖一さんを気の毒に思うから、あの人を 知っている男とはやらないの。 僕は安堵の思いとともにクックッと笑っていた。 どうして笑うの? あなたの答えが正しいから... 本当に優秀な家庭教師らしいわねえ。 その翌週の土曜日には、僕は自分が予備校に通う一年間 いったん町田まで急行で行き引きかえした玉川学園前 そこには降り斜面の長方形の地所が両側を雑木林に限ら たかたは郵里の造り酒屋の間に似て、建英のその |姉がくれる缶詰類で私の蛋白質の補給は充分なんだ ―鶏の卵もあるでしょう? うちの母にくださるけれ |烏骨鶏。毎週、あれの卵を買いに来る人がいて、そ れが私の唯一の現金収入だから。お宅に持って行くのは、 いた繁君が、たちどころにひとつデモンストレーションの |靖一叔父さんが陸軍少尉の軍服で、二頭の山羊に中 靖一叔父さんは自分も新しいことを聞くように繁君のブ しかし靖一叔父さんはそれ以上繁君の話をフォローする が...... 山羊は? 繁君は僕を玉川学園前まで引張り出したことへの返礼を あらためて僕は駒場の学園誌に発表した小説が冗談のよ 僕は思わず本音をあらわして、確かに自分にも真面目に どういうものを書きたい? それはテーマとしてあ |