は、今に着いている。あの発見直後の、靖一叔父さんへの 罪障感がすべて片づいたと思ったのは錯覚で、やはりそれ は永年の生の習慣として残っているが、今はあれがやはり 過剰だったと、苦しみの質と量とそれを引きずった時の長 さにおいて過剰だったとも感じている。苦しんで過した 日々というものは、時をへだてて思い出してみようとする となんとあいまいなものだろうか? が、痕跡は心に残っ ていよう。心理的なストレスが癌疾患をもたらすというの が真実であれば僕の同僚の実験心理学者など癌の半分 をそれで片づけている――、まあひとつ確実な、この永S 年月の「アレ」にもたらされた苦しみの結果は身体にもあ らわれてくるはず。 カンガルーノート 安部公房 新潮社版 ハナコンダ アラゴンタ アナゲン ダ......郷愁のパルスを正確に刻みな がら、小鬼たち群れる賽の河原を疾 駆する自走ベッドの行方は――。間 英の私小説。 定価1500円 そこで家族写真でも送るかと思案していたところ、妙な 学会の最終日のパーティーで、当の生化学者がね、こち (了) 【限定2000セット】 全4巻美装函入セット定価20,000円(税 A5判変型・上製函入・平均340頁・別冊40頁 U.C. BERKELEY LIBRARY 2 : (分売不可) 岩波書店 2101-2 東京都千代田区一ツ橋2-5-5 69 思ってみれば十八年という月日の、長短を含めてその意 なんであんなことをしたのかとよく聞かれますが、結局 私はまさしくあれを私のためにしかやりはしなかった。 そして、そういってもそれが質した相手にも他の人間た 私自身のため、というより私の体の内にあるもののため たとえその何かのためとはいっても、そのためにこの体 私は、生まれつき天邪鬼な人間だったかもしれないが、 それでもそんな気質をさらに培ったような、人生の中での |