新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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33 ページ
かれはシゲと呼ばれていて、 ンス語の助教授から繁君のお母さんに 僕が本当に若かった頃 33 僕はエッセイに、永い時がたったにもかかわらず、かつは再三引越しをしたにもかかわらず、この草稿を本棚の上の紙箱にしまったままできたことを書いた。
かれはシゲと呼ばれていて、 ンス語の助教授から繁君のお母さんに 僕が本当に若かった頃 33 僕はエッセイに、永い時がたったにもかかわらず、かつは再三引越しをしたにもかかわらず、この草稿を本棚の上の紙箱にしまったままできたことを書いた。
37 ページ
同時に、自分のしている事の底の浅さを見ぬかれているようにも感したのである。靖一叔父さんの表情にも話しぶりにも、こちらを批評する気配はなかったのに。それは僕が四国から上京して、父祖からつたわった東京の言葉を抑制された速度で歯切れよく ...
同時に、自分のしている事の底の浅さを見ぬかれているようにも感したのである。靖一叔父さんの表情にも話しぶりにも、こちらを批評する気配はなかったのに。それは僕が四国から上京して、父祖からつたわった東京の言葉を抑制された速度で歯切れよく ...
38 ページ
繁君は高校の「カー・デザイン同好会」の先輩をたどり小説の載っている教養学部誌を手に入れた。そしてすぐさま読み終えると、それがかれの考えている成功する小説たりえない欠陥を分析し、それでいて底流としてある良いところもくみとってくれた。
繁君は高校の「カー・デザイン同好会」の先輩をたどり小説の載っている教養学部誌を手に入れた。そしてすぐさま読み終えると、それがかれの考えている成功する小説たりえない欠陥を分析し、それでいて底流としてある良いところもくみとってくれた。
41 ページ
繁君はかれに自動車教習所との契約と練習日程を定める世話を頼んでいた。繁君に連れられて書類他を受けとりに行った時、この徹底的に無表情な人物がーいまとなってはそれが自分をきびしく抑制してつくり出していた、もうひとつの表情だとわかるーこちらの ...
繁君はかれに自動車教習所との契約と練習日程を定める世話を頼んでいた。繁君に連れられて書類他を受けとりに行った時、この徹底的に無表情な人物がーいまとなってはそれが自分をきびしく抑制してつくり出していた、もうひとつの表情だとわかるーこちらの ...
42 ページ
それを繁君に手渡そうとしたが、かれは赤らんだ眼に依固地さをあらわして拒否する。気の滅入る言い合いを続けた結果、繁君は中古車のディーラーの年長の友達に電話して、正当な理由で途中で受講をやめる際の払い戻しの実例を尋ね、最初に払い込んだ金額の ...
それを繁君に手渡そうとしたが、かれは赤らんだ眼に依固地さをあらわして拒否する。気の滅入る言い合いを続けた結果、繁君は中古車のディーラーの年長の友達に電話して、正当な理由で途中で受講をやめる際の払い戻しの実例を尋ね、最初に払い込んだ金額の ...
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