新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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ら、鳥たちは、山すれすれにとぶのだろうと山根さんはいい、朝、比叡をこえてくるときはまだ元気があるので山頭の上にきて、三つか四つの横隊に分れるということだった。一隊ごとに、横真一文字になって、京の空を、低めにとんできて、鴨川や桂川や宇治川 ...
ら、鳥たちは、山すれすれにとぶのだろうと山根さんはいい、朝、比叡をこえてくるときはまだ元気があるので山頭の上にきて、三つか四つの横隊に分れるということだった。一隊ごとに、横真一文字になって、京の空を、低めにとんできて、鴨川や桂川や宇治川 ...
21 ページ
三つちかいさん。癌で亡た。残った妻子はま京都市内にいるそうな。父親の政義さんもつるさんの小学校の時に死亡して、は「トトさん」とふたりだけ。派出婦会の家政婦が似合うといえば、山根さんは文句もあろうけれど、 S 病院へくることがきまって、私の ...
三つちかいさん。癌で亡た。残った妻子はま京都市内にいるそうな。父親の政義さんもつるさんの小学校の時に死亡して、は「トトさん」とふたりだけ。派出婦会の家政婦が似合うといえば、山根さんは文句もあろうけれど、 S 病院へくることがきまって、私の ...
22 ページ
とてもそこにむかし二百頭以上の馬が住み、三百人はいたろう軸重兵の営舎や営庭があったなど考えられないぐらいに家が建て込んで ... 私は、山根さんと一しょに墨染寺の前から、小栗栖へ歩いたのだが、その途中の坂道に二本の山柿が昔の枝ぶりをみせて、 ...
とてもそこにむかし二百頭以上の馬が住み、三百人はいたろう軸重兵の営舎や営庭があったなど考えられないぐらいに家が建て込んで ... 私は、山根さんと一しょに墨染寺の前から、小栗栖へ歩いたのだが、その途中の坂道に二本の山柿が昔の枝ぶりをみせて、 ...
24 ページ
「ここらあたりに馬をつないだんですよ」と、思わず私は山根さんにいってしまった。「お馬さんと」と山根さんはいったあとで口ごもった。私が戦争中に、伏見の馬卒をつとめていたことなど山根さんにくわしいことはいっていなかった。
「ここらあたりに馬をつないだんですよ」と、思わず私は山根さんにいってしまった。「お馬さんと」と山根さんはいったあとで口ごもった。私が戦争中に、伏見の馬卒をつとめていたことなど山根さんにくわしいことはいっていなかった。
25 ページ
といい、「ねきに小学校がおしてなァ、うちが夏に裸かでおふとん干したりしてると、生徒さんらが土堤に珠数みたいにならんで見てはりますねや」とわらった。山根さんのアパートはそんな低地にあるらしかった。だが、そういわれてみても近くにあるという ...
といい、「ねきに小学校がおしてなァ、うちが夏に裸かでおふとん干したりしてると、生徒さんらが土堤に珠数みたいにならんで見てはりますねや」とわらった。山根さんのアパートはそんな低地にあるらしかった。だが、そういわれてみても近くにあるという ...
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