新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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だが、そんなよせあつめの人間でも、馬卒はつとまったというか。食糧や弾丸はこびは戦争には欠かせないことだといえるにしても運搬の中心は馬にあって、兵隊は馬に従属していた。入隊した日に伊勢訛りの古兵がいった。「おんだら、お前らは一銭五厘で集め ...
だが、そんなよせあつめの人間でも、馬卒はつとまったというか。食糧や弾丸はこびは戦争には欠かせないことだといえるにしても運搬の中心は馬にあって、兵隊は馬に従属していた。入隊した日に伊勢訛りの古兵がいった。「おんだら、お前らは一銭五厘で集め ...
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そんな日からいっそうナースルームでは私の頭のことを噂しているのがわかるので、私も人とは話さなくなり、薬のトゲトゲした副作用からのがれたいのと、気分を一新したい思いも手つだって京都ゆきを決意したのだった。十一月の半ばに、家人と一しょに横浜 ...
そんな日からいっそうナースルームでは私の頭のことを噂しているのがわかるので、私も人とは話さなくなり、薬のトゲトゲした副作用からのがれたいのと、気分を一新したい思いも手つだって京都ゆきを決意したのだった。十一月の半ばに、家人と一しょに横浜 ...
18 ページ
また、京都駅に近かったから、夜なかしゅう電車の音がして、風のかげんで、構内スピーカーや、その他のうわーんという騒音が、窓をあけると割れるように入った。そんなこともわずらわしかったので、事務長さんに、醍醐といわれただけで、私の耳はうごい ...
また、京都駅に近かったから、夜なかしゅう電車の音がして、風のかげんで、構内スピーカーや、その他のうわーんという騒音が、窓をあけると割れるように入った。そんなこともわずらわしかったので、事務長さんに、醍醐といわれただけで、私の耳はうごい ...
19 ページ
そんな遠 S 小島にもどって眠る鳥の白い隊列が、縦一列に点々と見え、十二、三羽が醍醐山を屏風に、北へ早く走るのを見たのだった。あれはもう十二月だったから、シベリアからきてまもない頃だろう。
そんな遠 S 小島にもどって眠る鳥の白い隊列が、縦一列に点々と見え、十二、三羽が醍醐山を屏風に、北へ早く走るのを見たのだった。あれはもう十二月だったから、シベリアからきてまもない頃だろう。
21 ページ
そんな遠い山国に生れた人の血につながって、美貌とはいわないまでも、ひっこんだ目がきりっとしまっていた。頬骨の張った顔だちもどこか律儀で健康そうだった。まだ駅前にいた頃に、結婚なさったことがあるかときいてみたら、「三十三のとき人なみに」と ...
そんな遠い山国に生れた人の血につながって、美貌とはいわないまでも、ひっこんだ目がきりっとしまっていた。頬骨の張った顔だちもどこか律儀で健康そうだった。まだ駅前にいた頃に、結婚なさったことがあるかときいてみたら、「三十三のとき人なみに」と ...
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