新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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7 ページ
盛装した女たちは、寺内の名花、所々方々の花園を訪ね歩いた。 ... ついでに花見
に出た女たちの輿の順序を追っておくと、一番、政所殿(正室寧々)お輿添い、小出
秀政、田中吉政木食の興山応其が、よろづよをふるや御幸の山ざくら松に小松の
...
盛装した女たちは、寺内の名花、所々方々の花園を訪ね歩いた。 ... ついでに花見
に出た女たちの輿の順序を追っておくと、一番、政所殿(正室寧々)お輿添い、小出
秀政、田中吉政木食の興山応其が、よろづよをふるや御幸の山ざくら松に小松の
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12 ページ
車輛につんであった延をだしてひろげ、馬葉をそれに入れ、すし巻にしてもち
帰るのだった。営舎の農園で芽をふきかけた芋畑の肥料にするためである。
むろん古兵の監視の下でするのだけれど、伊勢出身の上等兵は私たちが少しでも
糞を摑む ...
車輛につんであった延をだしてひろげ、馬葉をそれに入れ、すし巻にしてもち
帰るのだった。営舎の農園で芽をふきかけた芋畑の肥料にするためである。
むろん古兵の監視の下でするのだけれど、伊勢出身の上等兵は私たちが少しでも
糞を摑む ...
13 ページ
だが、私たちも二頭の馬をひいているのだから、中間の災難にかかずらう余裕は
ないのだった。「敷島」は、栗毛の発琶股を輝かせ、肉づきのよい尻を大きく
左右にふり、頭を垂直にして空に向ってひひーんとないた。そうして、二つの輪
の ...
だが、私たちも二頭の馬をひいているのだから、中間の災難にかかずらう余裕は
ないのだった。「敷島」は、栗毛の発琶股を輝かせ、肉づきのよい尻を大きく
左右にふり、頭を垂直にして空に向ってひひーんとないた。そうして、二つの輪
の ...
14 ページ
四月から六月まで、約三·ヵ月飼育して、調練も終えた馬たちだったが、いまは
もう印象薄くて、顔だちもしっかりおぼえていない。五十年の歳月というものだ
ろう。重輸卒という名称もそうだけれど、特務兵というにしても、馬の尻掃除 ...
四月から六月まで、約三·ヵ月飼育して、調練も終えた馬たちだったが、いまは
もう印象薄くて、顔だちもしっかりおぼえていない。五十年の歳月というものだ
ろう。重輸卒という名称もそうだけれど、特務兵というにしても、馬の尻掃除 ...
72 ページ
親父たちの方が驚いて、たしなめるというより叱るようにいい返したが、「
だって、俺たちみたいないい若いものをこんな死なせかたするようじゃ、もう
終りだよ」さらっといった。「じゃあ、なんで志願したんだ」親父は相手の父親
の気持ち ...
親父たちの方が驚いて、たしなめるというより叱るようにいい返したが、「
だって、俺たちみたいないい若いものをこんな死なせかたするようじゃ、もう
終りだよ」さらっといった。「じゃあ、なんで志願したんだ」親父は相手の父親
の気持ち ...
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