新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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弾丸を背負わせたり、車輛に食糧を積むといっても、むろん代用品で、弾丸は木箱に入った桂川の小石だったし、食糧は相当量の土養だった。これらを積んだりおろしたりして、馬に挽かせたのだが、馬はどの馬も気が荒かった。東北や北海道からの長旅を狭い船 ...
弾丸を背負わせたり、車輛に食糧を積むといっても、むろん代用品で、弾丸は木箱に入った桂川の小石だったし、食糧は相当量の土養だった。これらを積んだりおろしたりして、馬に挽かせたのだが、馬はどの馬も気が荒かった。東北や北海道からの長旅を狭い船 ...
11 ページ
絡網のあそびは、馬が水をのめたり、食事が出来たりするように余裕をとらなければならない。むろん、鞍にふり分けてかつがせてきた弾丸箱(中身は石だけれど)をおろして、鞍もはずし、鞍下毛布もめくって、汗をかいているのを ...
絡網のあそびは、馬が水をのめたり、食事が出来たりするように余裕をとらなければならない。むろん、鞍にふり分けてかつがせてきた弾丸箱(中身は石だけれど)をおろして、鞍もはずし、鞍下毛布もめくって、汗をかいているのを ...
20 ページ
すると、下の方から順々に、九条、七条、五条、三条というふうに、鴨川の水面で羽を洗ったり、岸を歩いたり、時には、パンきれをくれる人の手籠にむらがって愛嬌をふりまいていたのまでが、誰かに命令されたように上空へのぼりはじめて、先に飛翔している ...
すると、下の方から順々に、九条、七条、五条、三条というふうに、鴨川の水面で羽を洗ったり、岸を歩いたり、時には、パンきれをくれる人の手籠にむらがって愛嬌をふりまいていたのまでが、誰かに命令されたように上空へのぼりはじめて、先に飛翔している ...
23 ページ
たしかに、上醍醐から、下醍醐にかけて冬近い山のこまかい髪はみな紅葉していて、赤い毛糸束でもちらしたようで、山の厳は赤かったり、黒かったりして美しいのだった。その足で、私は「おぐりすや S と」の看板のあった方へ山根さんにたのんで案内して ...
たしかに、上醍醐から、下醍醐にかけて冬近い山のこまかい髪はみな紅葉していて、赤い毛糸束でもちらしたようで、山の厳は赤かったり、黒かったりして美しいのだった。その足で、私は「おぐりすや S と」の看板のあった方へ山根さんにたのんで案内して ...
24 ページ
は、私の胴ぐらいの根の太さのが、何本かあって、五重塔の方にまで、先すぼまりに、枝をたわめて道にたれているのだけれど、むろん、この日も十二月なので、花はなく、ところどころに紅かったり黄色かったりするよごれ葉をのこした枝が、針のようにとがっ ...
は、私の胴ぐらいの根の太さのが、何本かあって、五重塔の方にまで、先すぼまりに、枝をたわめて道にたれているのだけれど、むろん、この日も十二月なので、花はなく、ところどころに紅かったり黄色かったりするよごれ葉をのこした枝が、針のようにとがっ ...
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