新潮, 第 89 巻、第 1〜3 号 |
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35 ページ
息子が高校生の時、はたしていまの自分があの頃の自分を家庭教師として
迎え入れるかと、繁君およびその御両親に二重、三重の申しわけなさを感じた
ことがあった......さて僕の「方法」に対して、繁君は当然ながらおおいに抵抗した
。最初の ...
息子が高校生の時、はたしていまの自分があの頃の自分を家庭教師として
迎え入れるかと、繁君およびその御両親に二重、三重の申しわけなさを感じた
ことがあった......さて僕の「方法」に対して、繁君は当然ながらおおいに抵抗した
。最初の ...
40 ページ
K さんは成功する小説の取材、自分は念願の大平原を走る旅ということで、この
計画はぜひ実現させたい繁君はいったんこの発想を抱いてしまうと、自分の
思い込みどおりに企みを貫徹しないではすまさぬ執着ぶり。僕の方では家庭教師
の日に ...
K さんは成功する小説の取材、自分は念願の大平原を走る旅ということで、この
計画はぜひ実現させたい繁君はいったんこの発想を抱いてしまうと、自分の
思い込みどおりに企みを貫徹しないではすまさぬ執着ぶり。僕の方では家庭教師
の日に ...
48 ページ
その翌週の土曜日には、僕は自分が予備校に通う一年間で作り、棄てないでいた
消書された授業ノートを肩かけカバンに詰めて、新宿駅で繁君と待ち合せた。
そして律義に往復切符を二人分買ってくれた繁君と急行の小田急電車に乗り込ん
で ...
その翌週の土曜日には、僕は自分が予備校に通う一年間で作り、棄てないでいた
消書された授業ノートを肩かけカバンに詰めて、新宿駅で繁君と待ち合せた。
そして律義に往復切符を二人分買ってくれた繁君と急行の小田急電車に乗り込ん
で ...
55 ページ
もし自分が同乗していれば、こちらは飲酒運転をせぬわけだから|夏枝叔母さんの
アパートでは泥酔してしまったが、それからあと一滴も飲酒していない―この
事故は起らなかっただろう。それは自分に運転免許がとれていたらということで
、 ...
もし自分が同乗していれば、こちらは飲酒運転をせぬわけだから|夏枝叔母さんの
アパートでは泥酔してしまったが、それからあと一滴も飲酒していない―この
事故は起らなかっただろう。それは自分に運転免許がとれていたらということで
、 ...
57 ページ
そして僕は、繁君がかれ自身も負った重傷から恢復しながら、自分の責任の事故
で靖一叔父さんともうひとりの女性の生命を失なわせてしまったことについて、
自分が運転していたと告白しようと反対する家族にあらがっている勇気を ...
そして僕は、繁君がかれ自身も負った重傷から恢復しながら、自分の責任の事故
で靖一叔父さんともうひとりの女性の生命を失なわせてしまったことについて、
自分が運転していたと告白しようと反対する家族にあらがっている勇気を ...
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