新潮, 第 89 巻、第 4〜6 号 |
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この家の外孫に、すでにお鉄を名乗る娘がたようで、祝宴の席上、二人の将来に
は、最上吉の卦が出ていると上機嫌であったが、当るも実父、元立は、もともと
信州・松本の農家の六男、若くして江戸に出て医を学んだが、生来、飾り気が ...
この家の外孫に、すでにお鉄を名乗る娘がたようで、祝宴の席上、二人の将来に
は、最上吉の卦が出ていると上機嫌であったが、当るも実父、元立は、もともと
信州・松本の農家の六男、若くして江戸に出て医を学んだが、生来、飾り気が ...
20 ページ
お路に聞きただし候ところうちとけ物語り致し候にはこれなくただ一と通りの
挨拶におよび滝沢家とそりの合わぬ隣家の老母とお路が、打ちとけて話してい
たと宗伯が逆上する。れども無事にとりおさめ珍重々々」その日は珍重と喜ん
ではみて ...
お路に聞きただし候ところうちとけ物語り致し候にはこれなくただ一と通りの
挨拶におよび滝沢家とそりの合わぬ隣家の老母とお路が、打ちとけて話してい
たと宗伯が逆上する。れども無事にとりおさめ珍重々々」その日は珍重と喜ん
ではみて ...
27 ページ
御家人株の内証売買の者にも会った。目下、かかえている口といえば、御賄方御
持筒同心(主)百 ... これも丁子屋を立てて、蔵書六千余巻のうちの四千巻を、
日本橋、書籍市の饗にかける。いつか、宗伯にいった。蔵書は、おのれ一人の
楽しみ。
御家人株の内証売買の者にも会った。目下、かかえている口といえば、御賄方御
持筒同心(主)百 ... これも丁子屋を立てて、蔵書六千余巻のうちの四千巻を、
日本橋、書籍市の饗にかける。いつか、宗伯にいった。蔵書は、おのれ一人の
楽しみ。
40 ページ
そして、三女のお鍬は、勝手元のよくない渥見家の後妻に入ったから、不惑に
思うのであろうか、「......お鍬良人と共に節険を ... 11110 二人は、家運の成行き
と闘ううちに、父と娘、師と弟になっていたのではないか。義父もまた、勉めて
やま ...
そして、三女のお鍬は、勝手元のよくない渥見家の後妻に入ったから、不惑に
思うのであろうか、「......お鍬良人と共に節険を ... 11110 二人は、家運の成行き
と闘ううちに、父と娘、師と弟になっていたのではないか。義父もまた、勉めて
やま ...
43 ページ
その通り、大騒ぎで出かけた道中で、中途で動けなくなる者が出る、遅れる者は
数えきれず、と散々なていたらあしょわとみ、襦袢の両肩には、鉄砲のための綿
入り肩当を太郎は遅れることもなく、耐えたうちの一人であったが、褒められる
の ...
その通り、大騒ぎで出かけた道中で、中途で動けなくなる者が出る、遅れる者は
数えきれず、と散々なていたらあしょわとみ、襦袢の両肩には、鉄砲のための綿
入り肩当を太郎は遅れることもなく、耐えたうちの一人であったが、褒められる
の ...
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