新潮, 第 89 巻、第 4〜6 号 |
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この家の外孫に、すでにお鉄を名乗る娘がたようで、祝宴の席上、二人の将来に
は、最上吉の卦が出ていると上機嫌であったが、当るも実父、元立は、もともと
信州・松本の農家の六男、若くして江戸に出て医を学んだが、生来、飾り気が ...
この家の外孫に、すでにお鉄を名乗る娘がたようで、祝宴の席上、二人の将来に
は、最上吉の卦が出ていると上機嫌であったが、当るも実父、元立は、もともと
信州・松本の農家の六男、若くして江戸に出て医を学んだが、生来、飾り気が ...
24 ページ
そして五月、宗伯を欠くことになるのだが、この年から、弘化四年に至る十三
年間の「日記」は、二年分が所在不明、十一年分が焼失のため、直接「日記」
から、その間の経過を聞くことは出来ない。だが、馬琴の恐るべき記録癖は、「
日記」 ...
そして五月、宗伯を欠くことになるのだが、この年から、弘化四年に至る十三
年間の「日記」は、二年分が所在不明、十一年分が焼失のため、直接「日記」
から、その間の経過を聞くことは出来ない。だが、馬琴の恐るべき記録癖は、「
日記」 ...
27 ページ
たしかに丈夫な太郎だが、年が九歳、御家人になるには十六歳以上の極まりが
ある。ただ、それは表向きで抜け道がある。たとえば外祖父、元立のうだつの
上がらぬ若い従弟を、宗伯妾腹の子、滝沢二郎とでも名乗らせて勤めに出し、
太郎が十 ...
たしかに丈夫な太郎だが、年が九歳、御家人になるには十六歳以上の極まりが
ある。ただ、それは表向きで抜け道がある。たとえば外祖父、元立のうだつの
上がらぬ若い従弟を、宗伯妾腹の子、滝沢二郎とでも名乗らせて勤めに出し、
太郎が十 ...
28 ページ
これまでの神田の家の八十一坪にくらべれば、二百四十坪の地球であり、
九尺二間の土蔵もあれば、裏には竹園もある。だが主屋が、廃屋に等しい。門は
傾いて閉まらず、萱葺の屋根は漏り、天井を張ってあるのは、八畳間一つ。戸
障子は破れ ...
これまでの神田の家の八十一坪にくらべれば、二百四十坪の地球であり、
九尺二間の土蔵もあれば、裏には竹園もある。だが主屋が、廃屋に等しい。門は
傾いて閉まらず、萱葺の屋根は漏り、天井を張ってあるのは、八畳間一つ。戸
障子は破れ ...
29 ページ
な」とは、馬琴一流の痩せがまんだが、この苦難を、お路はともあれ、妻のお百
は、どのような眼差しで見ていたであろ ... ならば、二十日ごろには届けさせた
迎春の餅だが、との年の瀬は、二十八日にやっと届くという忙わしなさである。
な」とは、馬琴一流の痩せがまんだが、この苦難を、お路はともあれ、妻のお百
は、どのような眼差しで見ていたであろ ... ならば、二十日ごろには届けさせた
迎春の餅だが、との年の瀬は、二十八日にやっと届くという忙わしなさである。
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あっ あと あの あり いい いく いた うか うち かけ かも かれ くる くれ ここ さん しか しまっ じゃ すぐ すると そう そこ それは そんな たい だが だから だけ ただ たち だっ たと たら たり だろ てき でも てる という どう とか とき ところ とも なか なかっ ながら なけれ なっ なの なら なり なる なん にし のか ぼく ほど まし ます また まで まま もう やっ よく より られ られる ろう わけ われ 一人 感じ 見え 言う 言っ 言葉 考え 行く 行っ 作家 作品 思い 思う 思っ 時間 時代 自分 俊之 書い 小説 少女 人間 世界 智恵 定価 電話 東京 日本 入っ 文学
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