親鸞と学的精神

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岩波書店, 2009 - 244 ページ
人間社会に法的・倫理的正義を実現することはいかにして可能か―この社会哲学的問いは親鸞の思想に逢着する。親鸞の主著『教行信証』は、有限な人間が絶対知に至りうること(覚醒)を論証した学的な著作である。六巻からなるテキスト構造を解体し、世俗内人間が智慧を求める過程の現象学的叙述である「化身土」巻こそが『教行信証』の核心部分であることを見いだし、そこに親鸞の人間学を見る。親鸞思想の現代における可能性を切り開く社会哲学的考察。著者の絶筆。

著者について (2009)

今村仁司(いまむらひとし) 1942-2007年.京都大学経済学部卒業.同大学経済学部大学院博士課程修了.東京経済大学教授.専攻は,社会哲学,思想史. 著書:『社会性の哲学』『抗争する人間(ホモ・ポレミクス)』『清沢満之と哲学』『交易する人間(ホモ・コムニカンス)』『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』 『近代の労働観』『アルチュセール全哲学』『ベンヤミンの〈問い〉』『近代性の構造』『排除の構造』『現代思想の基礎理論』『暴力のオントロギー』『労働のオントロギー』『アルチュセールの思想』ほか

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