オノマトペ・マーケティング: もふもふからはじめる市場調査・商品開発・販促支援

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株式会社 オーム社, 2020/12/25 - 200 ページ

ふわふわな感性データをマーケティングに役立てよう!

「もっとさらっとした手触りのものがほしい」

「もふもふでかわいい」

「こってりしたものが食べたい」

「ほわんとした音が心地いい」


日常的な会話のなかで、こういった表現を使用していませんか?

この「もふもふ」や「ほわん」が「オノマトペ」です。擬音語や擬態語とも呼ばれ、音や状態を形容する表現の1つです。


商品を使用するユーザーは、友人との会話はもちろん、店頭での相談やアンケートの自由記述欄などで、直感的にオノマトペを使っています。しかし、オノマトペのような定性的なデータは、統計的な分析によってマーケティングに役立てることが難しいとされてきました。オノマトペは顧客の素直な声そのものですが、なかなか役立てられていないのが現状です。


現在の市場調査では、統計分析を前提として「硬い-柔らかい」「温かい-冷たい」などの形容詞ごとに、5~10段階程度の選択肢のうち、どの段階が当てはまるかで答えてもらうアンケート(SD法)がよく使われています。

馴染みのある調査形式ですが、私たちは「このタオル、柔らかさは2で温かさは3くらいだね」と判断して生活しているわけではありません。日常的には、「このタオル、ふわふわだね」など、オノマトペで直感的に対象を表現しています。このオノマトペを分析できれば、より深く顧客のニーズを探ることができるはずです。


本書では、オノマトペを定量的に分析し、ビジネスに役立てるしくみを紹介します。

具体的には、オノマトペを数値に変化するしくみの紹介からはじまり、それをもとにした市場調査、ポジショニングマップによる可視化、商品開発、ネーミングやキャッチコピーの生成、パッケージデザインのキーカラー選定などを、実例を交えて紹介していきます。


本書の内容はマーケティングの全工程に関わるので、以下のような方々におすすめです。

・市場調査や販売戦略などに携わる、企業のマーケター

・商品の開発や改良に携わる、企業の製造担当者

・商品の企画、広報、販促などに携わる、企業の担当者

消費者の直感的な評価をそのままマーケティングに活かせれば、より需要の高い商品を生み出すことができます。オノマトペを使った新しいマーケティングの形を、ぜひ覗いてみてください。


このような方におすすめ

◎ 市場調査や販促などを担当するマーケター

◎ 企業(メーカー)の企画・広報・開発の担当者

○ デザイナー、コピーライターなどのクリエイター


主要目次

Chapter 1 オノマトペ×マーケティングが秘める可能性

Chapter 2 オノマトペで市場調査してみよう

Chapter 3 オノマトペでニーズを可視化してみよう

Chapter 4 オノマトペで感じかたの個人差を捉えよう

Chapter 5 オノマトペで商品開発してみよう

Chapter 6 オノマトペで販売促進してみよう

 

目次

38 クラリネットはやっぱりパオパオ?
94
1 音の響きとオノマトペ
96
2 楽器の音とオノマトペ
97
39 さらしととした漆に和を感じます
100
1 漆とはなんだろう?
102
2 漆の質感とオノマトペ
104
Chapter4 オノマトペで感じかたの個人差を捉えよう
107
41 みんなバラバラ? マーケティングで理解すべき個人差
108

3 オノマトペが秘めるマーケティングの可能性
12
3 分析したデータを可視化できる
14
5 商品開発や広告コミュニケーションにも活用できる
15
Chapter2 オノマトペで市場調査してみよう
17
21 コツコツ地道に? いままでの市場調査
18
2 会場調査と観察調査
19
手順 1 評価項目の選択
21
手順 2 評価項目の提示順序の決定
23
手順 4 線分とメモリに対する工夫
24
手順 6 実験の実施
25
3 SD法による市場調査のデメリット
27
デメリット 3 尺度の段階と度合を表す副詞が必要
28
デメリット 7 そもそも主観は分析できない
29
22 すいすいできるオノマトペで市場調査
30
2 オノマトペの印象を数値化するシステム
32
手順 1 オノマトペを準備する
33
3 オノマトペによる一言アンケート
38
4 オノマトペによる市場調査のメリット
40
メリット 1 回答に必要な時間が短い
41
メリット 5 誰でも簡単に調査に参加できる
42
Chapter3 オノマトペでニーズを可視化してみよう
43
31 数値化とマッピングでパッとわかること
44
32 質感オノマトペマップのつくりかた
48
1 素材マップの作成
49
2 オノマトペマップの作成
52
3 素材マップとオノマトペマップの重ね合わせ
54
33 ほっこりする木ってどんな木ですか?
56
1 木とはなんだろう?
58
3 木の質感とオノマトペ
59
34 ぬめぬめする紙を想像できますか?
62
1 紙というメディアの現在
64
2 紙とはなんだろう?
65
3 紙の質感とオノマトペ
66
35 BOROは世界に通じるオノマトペ
70
1 画像のみで質感を把握することの難しさ
72
3 布とはなんだろう?
73
4 NUNO NUNO BOOKS
75
5 布の質感とオノマトペ
79
36 ぴちぴちワインや日本酒をテイスティングしたい
80
1 ワインとはなんだろう?
82
2 日本酒とはなんだろう?
84
3 お酒の味とオノマトペ
85
37 つるつるさらさらなりたい髪になりたい
88
1 ヘアケア商品の広告と口コミの表現
90
2 髪の質感とオノマトペ
91
コラムオノマトペにみられる性差?
93
2 ユーザの行動履歴から好みを推定する
109
42 しっとり? べたべた? 個人差可視化システム
113
手順 1 素材マップの作成
114
手順 2 オノマトペマップの作成
115
43 しっとりした使用感の化粧品は?
119
手順 1 お客様の希望を入力する
120
手順 2 お客様の感じかたをオノマトペで表現する
121
手順 3 お客様の感性に適した商品の提案
122
44 一人ひとりにぴったり寄り添うAI時代のマーケティング
123
Chapter5 オノマトペで商品開発してみよう
125
51 オノマトペでさくさく開発指標や改善点を見つけよう
126
2 味とテクスチャーの指標をつくろう
128
3 最初の音と味の関係
130
4 オノマトペ印象評価システムによる分析
131
2 オノマトペで新しいパンのレシピを作ろう
133
2 分量推薦システムを構築しよう
134
3 具材推薦システムを構築しよう
136
3 複雑なデバイスの操作感を把握したい
138
2 さまざまなデバイスを用いた実験
139
3 操作感と音の関係
141
4 プラスチックを実金属に近づけたい
143
2 実金属と模造金属をオノマトペで評価しよう
144
52 もっともふもふにしたらどうなる? 質感シミュレーションによる開発支援
150
53 どんどん蓄積しよう質感データベースによる素材選定支援
153
2 モノと感覚と言葉をつなぐ質感データベース
155
3 日本の立ち位置と可能性
157
Chapter6 オノマトペで販売促進してみよう
159
61 新商品にピッタリな名前を付けるには?
160
2 商品カテゴリで変わる音と印象の結びつきかた
163
3 医薬品
164
62 ズバッと刺さるキャッチコピーを自動生成しよう
167
2 新しいオノマトペを生成するシステム
168
手順 1 遺伝的アルゴリズムを使うための準備
172
最適化の過程 3 確率の操作
173
63 わくわくする色でパッケージデザインをつくりたい
175
1 色の寒暖感暖色寒色
176
3 伝えたい印象に合った色を提案するシステム
177
4 前向きになれるパッケージデザインを作ろう
179
1 一般調査
180
64 さらふわな商品だけ検索したい
182
2 オノマトペでの検索に対する商品推薦システム
183
おわりに
186
索引
188
奥付
189
著作権

多く使われている語句

著者について (2020)

坂本真樹(さかもとまき)

1998年東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了(博士(学術))。1998年東京大学助手、2000年電気通信大学講師、准教授を経て、2015年より同大大学院情報理工学研究科及び人工知能先端研究センター教授。2020年より同大副学長。日本学術会議連携会員。人工知能学会理事、認知科学会役員など歴任。感性AI 株式会社取締役COO。一般社団法人スマートシティ・インスティテュートエグゼクティブアドバイザー。国際会議でのベストアプリケーション賞や人工知能学会論文賞など受賞多数。言葉と感性の結びつきに着目した文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。

著書『坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本』(オーム社、2017年)は2020年4月採用の学校図書国語の教科書にも転載されている

オスカープロモーション所属で「子ども科学電話相談(AI・ロボット担当)」(NHKラジオ)、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ) などメディア出演多数。

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