よくわかるパーソナルデータの教科書

前表紙
株式会社 オーム社, 2022/07/23 - 248 ページ

パーソナルデータを「正しく」活用するための教科書

パーソナルデータとは、個人を識別したうえで収集されたデータのことです。たとえば、ECサイトで買い物をしていると、自分がカートに入れたものに関連するおすすめ商品が出てきたり、検索エンジンでの検索結果が自分と友人とで違ったりするのは、パーソナルデータとして「自分や友人が識別されたうえで集められたデータ」の活用によってサービスが作られているからです。

パーソナルデータは世界中のさまざまなサービスで活用されていて、企業は利益を効率的に改善できるようになり、ユーザーは個々人にとって適切なサービスを受けられるようになりました。

その一方で、パーソナルデータの利用目的や手段によっては、法的あるいは倫理的な課題にぶつかり、議論となることが多々あります。場合によっては大きなニュースとなり、企業イメージを低下させ、ユーザーの生活に悪影響を与え権利を侵害する恐れすらあります。これらは個人が識別されることによっておきる弊害です。

本書は、以上の背景のもと、パーソナルデータの適正な利活用に必要な基本事項を提示するものです。

リスクを回避し、「有用性」と「ユーザーのプライバシーや第三者の権利の保護」とを両立しながらデータを活かすにはどうしたらよいのか、法律・倫理・技術などの複数分野を横断しながら、多角的に解説します。

本書のおもな読者対象は、パーソナルデータを活用するサービスのプロデューサー、マネージャー、ディレクター、そして実際にパーソナルデータを処理する、いわゆるデータサイエンティストや機械学習エンジニアなどです。

ほかにも、パーソナルデータを使ったサービスを提供する企業の社会人であれば、それ以外の職種の方(企画、広報、営業など)にも有用な内容です。

また、自分のパーソナルデータがどのように活用されているのか気になる一般のユーザーの方にもおすすめです。


■本書の特徴

・法的な側面だけでなく、倫理やセキュリティや技術に関するものや、意図せずして社会に与える影響など、周辺知識を幅広く解説します。

・Web業界を例として、職種問わず共通認識として把握しておきたいことを網羅的に解説します。

・実際にサービスをつくるときに考慮すべき事項を、表とフローチャートを用いて解説します。


このような方におすすめ

◎ パーソナルデータを含むデータビジネスの担当者(プロデューサー、マネージャー、ディレクター、エンジニアなど)

◎ パーソナルデータを取り扱うビジネスの関係者(企画・広報・営業など)

〇 パーソナルデータを取り扱うサービスを利用するユーザー


主要目次

はじめに/目次

第1章 パーソナルデータってなんだろう?

第2章 パーソナルデータの事件簿

第3章 パーソナルデータ活用の分類

第4章 パーソナルデータまわりの権利や決まり

第5章 データ収集と処理に使われる技術

第6章 「信頼できるサービス」の構造

第7章 プライバシー・リスク・倫理

第8章 パーソナルデータの「正しい」活用のフロー

第9章 パーソナルデータ活用の応用事例

第10章 パーソナルデータがもたらす副作用

索引

 

目次

545 SimHash
121
第6章信頼できるサービスの構造
125
61 信頼の難しさ
126
62 信頼概念の整理
127
621 信頼は信頼する側の特性
128
622 相手の能力や意図が及ぶかどうかを考えるべき
129
623 相手の能力に対する期待 vs 相手の意図に対する期待
130
624 安心 vs 信頼
131

21 知られたくないことを知られる利用される
12
22 公的機関から監視される
14
23 自分のデータが利用されることへの同意の有無と実態
17
24 誰でも手に入るデータによる問題
19
25 過剰なデータ取得に対する拒否感
21
26 パーソナルデータの値段
22
第3章パーソナルデータ活用の分類
27
31 個人情報? 個人データ?
28
32 個人情報
31
321 個人に関する情報
32
322 個人情報
33
323 仮名化と匿名加工
38
33 ところでパーソナルデータとは?
43
332 パーソナルデータの分類
44
334 ディスポジショナルプライバシー
45
34 誰がなにからなにをなにに?
46
35 処理結果を深掘りする
48
352 統計処理の結果としての統計データ
49
353 機械学習と統計処理
51
354 利用目的と統計処理
53
36 誰とどこまで?
54
361 第三者提供
55
362 ガバメントアクセス
57
第4章パーソナルデータまわりの権利や決まり
61
41 著作権
62
412 著作権者はどのように権利を行使できるか?
63
413 SNS で写真を共有するときの権利の処理
65
42 限定提供データ
67
44 複合的に考えるべき事例
70
443 データベースに著作権はあるか
71
444 機械学習のための入力にする場合
72
45 顔画像による個人認証や本人確認
74
452 本人確認
77
第5章データ収集と処理に使われる技術
83
51 通信技術と個人情報の関係
84
512 通信に伴う位置情報
85
513 通信に伴う位置情報取得のまとめ
89
522 セッション管理
90
523 ユーザーエージェント
93
524 システムセキュリティ
94
525 Cookie
96
53 個人を特定せずにデータ活用するための技術
102
531 ランダム回答法
103
532 匿名性に関する用語
105
533 匿名性
108
534 レコード間で個人を識別する
111
535 匿名加工
112
54 情報科学的な理論に基づく技術
114
542 ハッシュ関数
115
543 ブルームフィルター
117
544 HMAC
119
625 狭義の信頼
132
63 企業に対する安心のもと
133
631 ステークホルダー
134
632 レピュテーション
135
配車アプリ
136
64 使われるサービスと受け入れられるサービス
137
642 社会的受容性の質問紙調査
139
644 各グループの項目の検討
140
645 社会的受容性調査の分析結果
146
第7章プライバシーリスク倫理
149
71 プライバシーの懸念と消費者の行動
150
712 消費者の立場から見たパーソナルデータ
152
713 プライバシーのさまざまな定義
154
714 消費者とプライバシー
156
715 プライバシーパラドックス
158
72 パーソナルデータのリスク
160
722 リスクマネジメント
163
73 パーソナルデータと倫理
166
732 最高倫理責任者CEOの設置
170
第8章パーソナルデータの正しい活用のフロー
175
81 データ分析の目的と手順
176
812 データ分析業務の流れ
177
82 データの利用基準はいつ考えるべきか
181
822 データ利用基準を適用しないことで発生する問題
182
83 データ利用基準の実例
184
832 権利判断マトリックス
189
833 権利判断マトリックスとしての表現
195
84 データ利用基準実施手順
198
841 事前の検討
199
842 各マトリックスの確認
201
第9章パーソナルデータ活用の応用事例
203
91 自社データの自社利用自社で収集したデータを情報推薦に活用する
204
92 グループ会社データの自社利用ユーザーの行動ログなどを用いて論文を書く
205
93 自社データの外部利用コミュニケーションデータから違反行為の予兆を発見する
207
94 外部サービスによる自社データ取得アンケートと行動ログを合わせて活用する
210
95 自社データの外部利用アンケート調査結果と行動ログを用いて共同研究を行う
211
96 自社データの外部利用ハッカソンの課題としてパーソナルデータを利用する
213
97 外部データの自社利用投稿コンテンツから特定商品への言及を抽出してレポートする
215
第10章パーソナルデータがもたらす副作用
219
101 社会の偏りの増大
220
102 統計的差別
221
103 情報接触の偏り
222
104 社会関係の偏り
224
105 ヘイトスピーチ対策システムが生み出してしまう差別
225
106 ステレオタイプの強化
227
107 マイクロターゲティングの弊害
228
108 おわりに
229
索引
233
奥付
237
著作権

多く使われている語句

著者について (2022)

森下壮一郎(もりした・そういちろう)

担当:第1 章、第2 章、第3 章、第4 章、第5 章、第6 章、第8 章、第9 章

2005 年埼玉大学大学院理工学研究科博士後期課程中退。2009 年同大学博士(工学)。東京大学、電気通信大学、理化学研究所を経て、2016 年より株式会社サイバーエージェントに勤務。メディアサービスの社会的受容性の調査やユーザーデータ分析などに従事。著書に『データマイニングエンジニアの教科書』(C&R 研究所、編著)。

高野雅典(たかの・まさのり)

担当:第1 章、第2 章、第9 章、第10 章

2009 年名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士 (情報科学)。株式会社サイバーエージェントMulti-disciplinary Information Science Center(MISC)リサーチャー。専門は計算社会科学・複雑系科学。システムインテグレータを経て、株式会社サイバーエージェントに勤務。スマートフォンゲームの開発・運用に携わったのち、現在は自社事業に関するデータ分析と計算社会科学研究に従事。著書に『計算社会科学入門』(丸善出版、分担執筆)、『データ活用のための数理モデリング入門』(技術評論社、共著)、『データマイニングエンジニアの教科書』(C&R 研究所、共著)など。

多根悦子(たね・えつこ)

担当:第7 章

2020 年東京大学大学院総合文化研究科単位取得満期退学。専門は科学技術社会論。研究テーマは、不確実性下におけるステークホルダー間の責任と信頼の関係からみたパーソナルデータの社会的受容性について。実務では国内IT 企業にて経営企画、新規事業立ち上げなどの業務に携わったのち、現在は電気通信事業者にてマーケティングおよびカスタマーコミュニケーション領域でのデータ活用に従事。

鈴木元也(すずき・もとや)

担当:第8 章、第9 章

株式会社サイバーエージェントMedia Data Tech Studio 内 Data Science Center 所属。おもにB2B 向け受託分析の会社を経て、2017 年中途入社。修士(商学)。メディアサービスにて意思決定のための分析レポーティングや機械学習システムの改善支援、ビジネスメンバーへの分析アドバイザリーなどを行う。

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