王朝人の精神史桜楓社, 1983 - 260 ページ |
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... なりけり。殿上にさぶらひける在原なりけるおとこの、まだいとわかりけるを、この女あひ知りたりけり。おとこ、女方ゆるされたりければ、女のある所に来て向ひ居りければ、女、「いとかたはなり。身もほろびなん。かくなせそ」といひければ、思ふには ...
... なりけり。殿上にさぶらひける在原なりけるおとこの、まだいとわかりけるを、この女あひ知りたりけり。おとこ、女方ゆるされたりければ、女のある所に来て向ひ居りければ、女、「いとかたはなり。身もほろびなん。かくなせそ」といひければ、思ふには ...
99 ページ
... なりにけり。鏡もなければ、顔のなりたらむやうもしらでありけるに、俄にみれば、いと恐しげなりけるを、いとはづかしとおもひけり。さてよみたりける、あさかやまかげさへみゆる山の井の、あさくは人を思ふものかはとよみて木にかきつけて、庵にきて死に ...
... なりにけり。鏡もなければ、顔のなりたらむやうもしらでありけるに、俄にみれば、いと恐しげなりけるを、いとはづかしとおもひけり。さてよみたりける、あさかやまかげさへみゆる山の井の、あさくは人を思ふものかはとよみて木にかきつけて、庵にきて死に ...
113 ページ
... なりけりであった。この歌は、京に残して来た妻なり恋人なりの、自分に対する愛情のうすさを恨む歌ととる説に従うべきであろう。たんに東下りの旅の孤独感をうたったというなまやさしいものでなく、京にあってほかの男に心を寄せる思い妻の、心変わりをも ...
... なりけりであった。この歌は、京に残して来た妻なり恋人なりの、自分に対する愛情のうすさを恨む歌ととる説に従うべきであろう。たんに東下りの旅の孤独感をうたったというなまやさしいものでなく、京にあってほかの男に心を寄せる思い妻の、心変わりをも ...
多く使われている語句
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