王朝人の精神史桜楓社, 1983 - 260 ページ |
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35 ページ
... 思い到らないであろうと思われる、当時庶民の間で行なわれていた沓を投げ入れるという求婚の方法によって、その切ない思いを女に伝えようとした。つまり男は、本意のようにならぬ男女の場合でさえその仲をとりもってくれる沓の呪力を頼みにして、人目 ...
... 思い到らないであろうと思われる、当時庶民の間で行なわれていた沓を投げ入れるという求婚の方法によって、その切ない思いを女に伝えようとした。つまり男は、本意のようにならぬ男女の場合でさえその仲をとりもってくれる沓の呪力を頼みにして、人目 ...
132 ページ
... 思いをはせ、藤壺を恋しく思い懐旧の念にたえかねて涙する。往時と変わることのない仲秋の名月は、有為転変の時流に翻弄される光源氏の、心の隈まで照らしだすのである。このように『源氏物語』の月光は、たんなる自然描写で終わることなく、主人公たちの ...
... 思いをはせ、藤壺を恋しく思い懐旧の念にたえかねて涙する。往時と変わることのない仲秋の名月は、有為転変の時流に翻弄される光源氏の、心の隈まで照らしだすのである。このように『源氏物語』の月光は、たんなる自然描写で終わることなく、主人公たちの ...
134 ページ
... 思い、「月見る宵の、いつとても、物あはれならぬ折はなき中に、今宵のあらたなる月の色には、げに、なほ、わが世の外までこそ、よろづ思ひながさる。故権大納言(柏木)、何のをりくにも、亡きにつけて、いとゞ偲ばること多く、おほやけ・わたくし、物の ...
... 思い、「月見る宵の、いつとても、物あはれならぬ折はなき中に、今宵のあらたなる月の色には、げに、なほ、わが世の外までこそ、よろづ思ひながさる。故権大納言(柏木)、何のをりくにも、亡きにつけて、いとゞ偲ばること多く、おほやけ・わたくし、物の ...