身体運動の制御と適応 ―リハビリ・介護、ロボットへの応用―

前表紙
株式会社 オーム社, 2020/03/06 - 328 ページ

人間の身体と神経性モデルの制御系がわかる本

 高齢化が進む中、運動障害の予防とリハビリテーションには神経ネットワークと身体制御の関係性を医工学的につまびらかにする必要があり、これに関する国家プロジェクトも盛んに行われています。また、ロボティクス分野では、神経系と人間の身体の挙動のつながりを分析することで、より効率的なロボットの制御に生かす「身体知」という研究分野に関心が高まり始めています。

 本書は、人間の身体と神経系のモデルを、システム制御論と同じ体系で工学的に捉えて、上記のような研究の流れに関心をもっている研究者へ向けて、順を追って解説する専門書としてまとめたものです。

[主要目次]

1章 序論

2章 システム基礎

3章 運動制御の神経機構Ⅰ ― 高次運動系

4章 運動制御の神経機構Ⅱ ― 運動実行系

5章 身体・空間・運動

6章 身体インピーダンス調節

7章 環境適応

8章 随意運動制御

9章 姿勢制御

10章 歩行制御

付録1 2関節6筋モデル

付録2 (三)半規管の動特性

 

ページのサンプル

目次

622 筋脊髄反射系のインピーダンス調節機構
150
623 手先インピーダンス
152
63 作業関節筋空間のインピーダンス変換
154
632 慣性変換
156
64 関節筋インピーダンス調節
159
第7章環境適応
163
72 到達運動
164
73 運動軌道
166

22 線形システム
18
222 線形システムの解
20
223 二次系の状態軌道
22
23 非線形システム
26
232 閉軌道とリミットサイクル
28
233 分岐
31
24 入出力表現
34
242 伝達関数と周波数応答
35
243 基本的な伝達要素
37
25 制御系の構成
42
252 フィードバックによる変動抑制
43
253 2 自由度系
44
第3章運動制御の神経機構I高次運動系
46
32 感覚系
50
33 頭頂連合野
51
34 運動前野
54
342 背側運動前野PMd
55
344 ミラーニューロン
56
35 補足運動野前補足運動野
58
36 大脳基底核
60
362 内部構成
61
363 報酬による行動学習
62
37 小脳
64
372 小脳神経回路
65
373 小脳の適応学習予測機構
71
374 小脳損傷による運動異常
75
38 一次運動野
76
382 身体マップ
77
383 運動野ニューロンと運動指令
78
第4章運動制御の神経機構II運動実行系
80
42 筋収縮と運動単位
81
43 脊髄反射系
83
432 腱反射系
85
433 相反性神経支配
86
44 介在ニューロン
87
442 Ia 抑制性介在ニューロン
88
443 Ib 抑制性介在ニューロン
89
444 レンショウ細胞
90
45 脊髄反射系の特性解析
92
452 伸張反射系の制御特性
93
453 筋収縮の制御特性
94
454 脊髄反射系の可変構造
98
46 脊髄への下行路と運動調節
101
462 下行路による脊髄反射系調節
102
463 脊髄小脳ネットワーク
104
47 運動制御ネットワーク
108
第5章身体空間運動
113
52 身体運動学
116
522 身体リンク機構
117
523 運動学変換
118
524 冗長自由度
120
53 感覚運動統合
122
532 頭頂野運動前野ネットワークにおける感覚運動統合
125
54 感覚運動変換の数理モデル
134
542 ゲイン修飾
139
543 空間変換
140
第6章身体インピーダンス調節
144
612 運動自由度と写像
146
62 筋骨格系のインピーダンス
148
732 仮想平衡点
167
733 軌道生成
170
74 環境適応
173
742 インピーダンス適応
177
743 プログラム適応
179
744 フィードバック適応
182
第8章随意運動制御
189
82 モデル内蔵システム
190
822 内部モデル原理
192
823 最適制御系
194
824 状態推定
196
83 小脳と内部モデル
199
832 小脳数理モデル
203
84 最適フィードバック制御
210
842 最適フィードバック制御の定式化
211
843 到達運動への適用
213
844 最適フィードバック適応と運動関連領野
215
85 随意運動制御とフィードバック適応
216
852 フィードバック適応の神経機構
219
86 脳内シミュレーションネットワーク
221
862 運動野小脳系
222
863 運動前野小脳系
224
864 頭頂連合野小脳系
225
865 前頭連合野小脳系
226
866 大脳皮質小脳大脳基底核ネットワーク
227
第9章姿勢制御
230
912 力学モデル
232
92 立位姿勢の平衡安定
234
921 線形フィードバック制御
235
922 多変数フィードバック制御
236
923 間欠PD制御
238
93 姿勢制御の神経機構
240
932 感覚統合
243
933 姿勢制御ネットワーク
245
94 予期的姿勢調節
251
942 基準座標
252
943 具体例
253
944 予期的姿勢調節と姿勢応答
254
95 姿勢制御と上位中枢
257
952 大脳皮質小脳大脳基底核による姿勢制御
258
第10章歩行制御
260
1012 四足歩行
261
1013 二足歩行
264
102 歩行制御の神経機構
268
1022 中脳歩行誘発野
271
1024 上位中枢による歩行制御
274
103 リズム生成
278
1032 ニューラルオシレータ
279
1033 位相振動子
281
104 筋シナジーと歩行制御
283
1042 筋シナジー
284
1043 筋シナジーの神経機構
286
付録
289
A2 三半規管の動特性
290
参考引用文献一覧
292
索引
310
奥付
319
著作権

著者について (2020)

伊藤 宏司

1944年生まれ.工学博士.

1969年,名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了.

1970年,同大学工学部自動制御研究施設助手.

1979年,広島大学工学部第2 類(電気系)助教授.

1992年,豊橋技術科学大学情報工学系教授.

1993年より理化学研究所バイオ・ミメティックコントロール研究センター併任.

1996年より,東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻教授.

2010年,立命館大学理工学部ロボティクス学科客員教授.

2015年,東京都医学総合研究所客員研究員,現在に至る.主に,運動制御の研究に従事.


著書

「シリーズ 移動知」(第3 巻「環境適応 ―内部表現と予測のメカニズム―」編著,オーム社)

「ニューロダイナミクス」(共立出版)

「身体知システム論」(共立出版)

「生体とロボットにおける運動制御」(コロナ社)など.

書誌情報