新潮, 第 1~3 号新潮社, 2008 |
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... 手榴弾をみつけて、あ、これだ、と思いだし、この六十年近くそのことをまったく忘れていたことをひそかに恥じた。「模造手榴弾があったね」まぶに一時間ののちに東江清昌の家を探し当てて対座すると、まもなく私はそのことを持ちだした。あの戦場の果て ...
... 手榴弾をみつけて、あ、これだ、と思いだし、この六十年近くそのことをまったく忘れていたことをひそかに恥じた。「模造手榴弾があったね」まぶに一時間ののちに東江清昌の家を探し当てて対座すると、まもなく私はそのことを持ちだした。あの戦場の果て ...
115 ページ
... 手榴弾の配給が足りないというので、申し出て辞退した。死んだ奴からもらえばよい、と笑った。彼が死んだのは、ひょっとして東江がもっていた模造手榴弾を摩文仁で譲りうけたせいではないか、そちんだ摩文仁海岸まで命からがら逃げ延びてきたとき、鈴木 ...
... 手榴弾の配給が足りないというので、申し出て辞退した。死んだ奴からもらえばよい、と笑った。彼が死んだのは、ひょっとして東江がもっていた模造手榴弾を摩文仁で譲りうけたせいではないか、そちんだ摩文仁海岸まで命からがら逃げ延びてきたとき、鈴木 ...
118 ページ
... 手榴弾で自決するか、敵の布陣を縫っ北部へ走りぬけるか、である。折々手榴弾で自爆する音がそこで聞こえた。聞こえると、それが自分を誘っている音に思えることもあり、あ、また一人我慢に耐えない者がいた、俺はもうすこし、と考えたりもした。隣の岩陰 ...
... 手榴弾で自決するか、敵の布陣を縫っ北部へ走りぬけるか、である。折々手榴弾で自爆する音がそこで聞こえた。聞こえると、それが自分を誘っている音に思えることもあり、あ、また一人我慢に耐えない者がいた、俺はもうすこし、と考えたりもした。隣の岩陰 ...
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多く使われている語句
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