里見八犬伝 巻1

前表紙
グーテンベルク21
ときは戦国。安房国(千葉県)を領する里見義実《よしざね》は安西景連《かげつら》に攻められる苦戦のなかで、たわむれに犬の八房《やつふさ》に向かい、「景連の首をとってくれば娘の伏姫《ふせひめ》を与えよう」といった。この冗談が現実となったばかりか、八房はほんとうに伏姫を欲しがる。伏姫は犬を殺そうとする父を制して、八房と一緒に出奔する。二年後、義実は娘の救出にむかい、犬と一緒にあやまって娘をも銃で撃ってしまう。伏姫は死ぬまぎわに妊娠していることを告げるが、けっして八房に身を汚されたことはないと誓い、身の潔白のあかしに切腹する…と、白煙があがり、伏姫の八字を彫った数珠が天空にのぼって光を放って飛び散った。その後、各地に八つの玉のそれぞれ一つを持った八人の犬士が生まれる…これが波瀾万丈のファンタジー大作「南総里見八犬伝」だ。その原作の香りを伝えるようにと、作家・詩人の山田野理夫が細心の注意を払ってなしとげた現代語訳。全4巻。本巻には「仁の巻」と「義の巻」を収める。早くも四人の珠の所有者があきらかになる。
 

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