新潮, 第 106 巻、第 12 号新潮社, 2009 |
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... ゐる。深い霧で、その中に大きな他の汽船が二つ三つ浮かんでゐる。大阪の港は始めてだ。小雨。午後一時下船。四ヶ月ぶりで内地の土を踏 一月二十三日(日)夜、伊豆. 昨夜もぐっすり睡る。正午ごろより玄界灘にかゝる。波は静かだ。野々村氏等と船尾で日向 ...
... ゐる。深い霧で、その中に大きな他の汽船が二つ三つ浮かんでゐる。大阪の港は始めてだ。小雨。午後一時下船。四ヶ月ぶりで内地の土を踏 一月二十三日(日)夜、伊豆. 昨夜もぐっすり睡る。正午ごろより玄界灘にかゝる。波は静かだ。野々村氏等と船尾で日向 ...
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... ゐるミホ。入湯して台所との間の小窓をあけるとその姿が見え、おにぎりをにぎってその窓から湯につかつてゐる私に与へてよこす。夜になると父は石橋君とどをぱちりとはぢめる。ミホはぐったり眠さを訴へる。ミホが熟睡出来るやうに牀を別にすることを考 ...
... ゐるミホ。入湯して台所との間の小窓をあけるとその姿が見え、おにぎりをにぎってその窓から湯につかつてゐる私に与へてよこす。夜になると父は石橋君とどをぱちりとはぢめる。ミホはぐったり眠さを訴へる。ミホが熟睡出来るやうに牀を別にすることを考 ...
285 ページ
... ゐると、ひぐらしが二回鳴き教はれたがそれきり泣かない。すると二階の硝子戸の外で輝くもの巣にひつかつて泣いてばたばたしてゐる。蜘蛛に吸ひつかれてゐる。からだだるくてそのまゝにしてゐたが、どうしてもかわいさうでミホにものさしを持つて来させて ...
... ゐると、ひぐらしが二回鳴き教はれたがそれきり泣かない。すると二階の硝子戸の外で輝くもの巣にひつかつて泣いてばたばたしてゐる。蜘蛛に吸ひつかれてゐる。からだだるくてそのまゝにしてゐたが、どうしてもかわいさうでミホにものさしを持つて来させて ...
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