愛国の血糊: 南北戦争の記録とアメリカの精神

前表紙
研究社, 1998 - 592 ページ
傑出した「マン・オブ・レターズ」であったエドマンド・ウィルソンが「アメリカ最大の危機」であった南北戦争を人々がいかに経験したかを、リンカーンの演説、南部副大統領やグラント、シャーマン、リー将軍らの回想録、南部婦人や黒人女性の日記、ホウムズ最高裁判書の書簡、『アンクル・トムの小屋』、「アウル・クリーク鉄橋」、『ラヴネル嬢』などからの膨大な引用によって、生き生きと語る。歴史、伝記、日記、文学批評、文学史、誌、小説と多彩な資料を検討し「悪との戦いの神話にとりつかれたアメリカ人が戦争をメロドラマ化した」という結論を、明晰で力強くかつ平易な文体で語る本書は、著者のライフ・ワークの一つであり、その面白さは「新歴史主義」をはるかに凌ぐ。

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