対応分析の理論と実践 -基礎・応用・展開-

前表紙
株式会社 オーム社, 2020/11/12 - 352 ページ

対応分析の実践的ガイドの翻訳書!

 本書は、著者自身による長年のセミナー経験での検証を経た極めて実践的な本であると同時に、今も発展を続ける「対応分析」の理論的な先端部分へのガイドともいうべき原書の翻訳出版です。

 Rの普及によって、かつてであれば高価なコンピュータ環境がなければ実践できなかったような高度な多変量解析が手軽にできるようになっていますが、対応分析もその1つです。しかし、「わかりやすい」グラフィカルな出力を特徴とする対応分析に関する解説も増えているものの、その正確な解釈は簡単ではないのが現実であり、ほとんどの解説書は、グラフを描画するところまでというのが実情です。

 本書は、数理的な基礎は最小限にとどめ、その結果の解釈において注意しなくてはならない点について、事例をもとに(サポートサイトでのRのスクリプトまで配布されている)わかりやすく説明しています。


このような方におすすめ

○対応分析に関心のある方

○カテゴリカル・データを分析する必要のある方

○社会調査を学ぶ学部、大学院の学生

○データサイエンティストを目指す方 等


主要目次

日本語版への序

はじめに

1. 散布図とマップ

2. プロファイルとプロファイル空間

3. 質量と重心

4. χ2距離と慣性

5. χ2 距離をプロットする

6. 次元を縮減する

7. 最適化尺度法

8. 行分析と列分析の対称性

9. 2次元表示

10. さらに3つの事例

11. 慣性への寄与

12. サプリメンタリ・ポイント

13. 対応分析バイプロット

14. 推移と回帰の関係

15. 行と列のクラスタリング

16. 多重表

17. 積重ね表

18. 多重対応分析

19. 同時対応分析

20. MCAのスケーリング特性

21. サブセット対応分析

22. 組成データ分析

23. 照応行列の分析

24. 正方表の分析

25. ネットワークの対応分析

26. データ・リコーディング

27. 正凖対応分析

28. 共-慣性、共-対応分析

29. 安定性と推定

30. 並び替え検定

・付録[A] 対応分析の理論

・付録[B] 対応分析の計算

・付録[C] 用語集

・付録[C] 対応分析関係の参考文献

・付録[E] エピローグ

 

目次

第20章 MCAのスケーリング特性
153
目的としてのカテゴリの数量化
154
項目間相関を最大化する
155
科学に対する態度の事例のMCA
156
個体の2乗相関
157
等質性分析における喪失関数の幾何学
158
信頼性とクロンバックのアルファ
159
調整された閾値が再発見される
160

平均プロファイル
10
行と列に対する対称処理
11
頂点はプロファイル空間における極端なプロファイルを定義する
12
三角三元座標系
13
3要素以上のプロファイルの幾何学
14
比率尺度におけるデータ
15
第3章質量と重心
17
加重平均としてのポイント
18
プロファイル値は頂点に対してウェイトを付与したものである
19
平均プロファイルはプロファイル自身を加重平均したものである
20
行と列の質量
21
プロファイル空間における解釈
22
行を統合する列を統合する
23
質量を変更する
24
第4章 X2距離と慣性
25
X2統計量による等質性仮説の検定
26
X2統計量を計算する
27
総慣性はX2統計量をサンプルサイズで徐したものである
28
加重ユークリッド距離としての例
29
行の慣性は列の慣性に等しい
30
まとめ
32
第5章 X2距離をプロットする
33
プロットする前に座標を変換する
34
目盛を付け直した座標軸から見るもう1つの解釈
35
慣性とX2統計量の幾何学的解釈
36
分布の同等性原理
37
X2距離はより似ているカテゴリへの寄与を作る
38
加重ユークリッド距離
39
まとめ
40
第6章次元を縮減する
41
年齢群行プロファイルの比較
42
低次元の部分空間の同定
43
プロファイル間距離の近似
44
プロファイルと頂点の結合解釈
45
CAにおいて最適化された基準の正式な定義
46
最適な部分空間を見つけることは回帰ではない
47
第7章最適化尺度法
49
整数尺度を用いた全体平均の計算
50
整数尺度を用いた分散の計算
51
分散を最大化する最適化尺度
52
最適化尺度の解釈
53
尺度の線形変換をほどこしても最適のままである
54
行列間距離に基づく基準
55
まとめ
56
第8章行分析と列分析の対称性
57
列分析プロファイル値は対称な解釈を有する
58
列分析同じ次元
59
主軸と主慣性
60
主慣性の相関解釈
61
主座標と標準座標
62
変数内の等質性の喪失を最小限に抑える
63
まとめ
64
第9章 2次元表示
65
行分析
66
主軸のネスティング
67
第2次元の解釈
68
対称マップ
69
対称マップにおけるポイント間X2距離の検証
70
対称マップ内の行と列への距離を解釈する際の危険性
71
まとめ
72
第10章さらに3つの事例
73
慣性の分解
74
対称マップ
75
マップの次元的解釈
76
種の個体数データの非対称CAマップ
77
6人の著者ごとの書籍にみる文字種の度数
78
マップのアスペクト比の単位を保存する重要性
79
第11章慣性への寄与
81
行と列の慣性
82
慣性へのセルの寄与
83
各行の主慣性の要素
84
各プロファイルの慣性成分
85
慣性分解の代数学
86
相対的寄与2乗相関
87
まとめ
88
第12章サプリメンタリポイント
89
第1のケース残りのものとは元々異なるポイント
90
第2のケース低質量の外れ値
92
第3のケースポイントの群もしくは区分を表示する
93
頂点に関連してサプリメンタリポイントを位置づける
94
カテゴリカルサプリメンタリポイントとダミー変数
95
まとめ
96
第13章対応分析バイプロット
97
スカラー積と射影の関係
98
簡単な実際のバイプロット
99
バイプロットにおけるいくつかの特別なパターン
100
分割比に対するバイプロット
101
バイプロットの解釈
102
バイプロットの目盛り付け
103
表示の全体的質
104
第14章推移と回帰の関係
105
座標間の回帰分析
106
プロファイル頂点関係
107
同時線形回帰
108
推移公式を用いた座標間の回帰
109
加重回帰分析
110
交互平均法ともうひとつの最小2乗法
111
まとめ
112
第15章行と列のクラスタリング
113
群間群内慣性
114
各群内慣性を計算する
115
クラスタリングクラスタ化のアルゴリズム
116
クラスタリングのツリー表現
117
慣性もしくはX2の分解
118
行と列のクラスターについての検定仮説
119
ワード法によるクラスタリング
120
第16章多重表
121
変数間の交互作用
122
働く女性に対する態度
123
応答による国別の基本CAマップ
124
ジェンダーを組み合わせ的に導入する
125
年齢群とジェンダーの導入
126
マップのアーチ状馬蹄形パターン
127
まとめ
128
第17章積み重ね表
129
組み合わせコーディングの代わりの積み重ね
130
積み重ね表の分析を解釈する際の制約
132
行方向列方向積み重ね表のCA
133
すべての分割表に対する慣性の分解
134
変数間の連関が表示されている変数内ではない
136
第18章多重対応分析
137
インジケータ行列
138
インジケータ行列の慣性
140
バート行列に対するCA
141
バート行列の慣性
142
マップにおけるサプリメンタリカテゴリの位置
143
サプリメンタリポイントの解釈
144
第19章同時対応分析
145
対角ブロックを無視する同時対応分析JCA
146
JCAの計算結果
147
JCAの計算結果は入れ子になっていない
148
MCA解法の簡単な調整
149
調整された慣性のパーセンテージ
150
調整されたMCAadjustedとJCAにおけるサプリメンタリポイント
151
まとめ
152
第21章サブセット対応分析
161
サブセット分析はもとの周辺度数のまま行う
162
母音のサブセットCAと寄与バイプロット
163
サブセットMCA
164
インジケータ行列に対するサブセット分析
165
再スケーリングされた解と調整された慣性を持つサブセットMCA
166
サブセットMCAにおけるサプリメンタリポイント
167
まとめ
168
第22章組成データ分析
169
比率と対数比率は部分組成的にコヒーレントである
170
サンプル間の加重対数比距離
171
時間配分
172
推定対数比としてのリンクの解釈
173
積モデルの診断
174
対応分析と対数比分析
175
まとめ
176
第23章照応行列の分析
177
群間群内慣性
178
合計と差異成分の表示
179
差異マップの解釈
180
働く女性への態度2012
181
1つの分析ですべての効果を分析する
182
効果を可視化する
183
まとめ
184
第24章正方表の分析
185
正方表のCA
186
正方表の対称性と歪対称性
188
歪対称部分に対するCA
189
対称部分と非対称部分の可視化
190
まとめ
192
第25章ネットワークの対応分析
193
直軸と逆軸
194
非対角要素のあてはめ
196
ラプラシアン行列
197
対称行列に対する分析族
198
ネットワークの多次元尺度構成法
199
まとめ
200
第26章データリコーディング
201
評価尺度
202
数える枠組み
203
変数の調整によって解釈される相関
204
行とサプリメンタリポイントの位置
205
対比較
206
連続データの別のリコード方法
208
まとめ
209
第27章正準対応分析
211
説明変数をサプリメンタリ変数として表示する
212
説明変数の関数としての次元
213
CCAにおける制約空間と非制約空間
214
CCAトリプロット
215
カテゴリカル説明変数
216
各種への説明変数の加重平均
217
まとめ
218
第28章共慣性共対応分析
219
共慣性分析のいくつかの特別なケース
220
同地点の2つの個体の豊富さの生態学的データ
221
共対応分析
223
まとめ
226
第29章安定性と推定
227
CAの安定性
228
多項サンプリング
229
凸包を剥離する
230
デルタ法
231
仮説検証モンテカルロシミュレーション
232
並べ替え検定
233
まとめ
234
第30章並べ替え検定
235
平均の差についての並べ替え検定
236
多次元空間における並べ替え検定
237
2変量相関に対する並べ替え検定
238
2変量のカテゴリカルデータの並べ替え検定
239
CCAに対する並べ替え検定
240
共慣性分析に対する並べ替え検定
241
まとめ
242
付録A 対応分析の理論
243
対応分析の記法
244
特異値分解SVDについての注記
245
双線形CAモデル
246
サプリメンタリポイント
247
ポイントの寄与から主慣性へ
248
積み重ね表
249
JCAによって説明される慣性のパーセンテージ
250
MCAにおける調整された慣性
251
対数比分析
252
正方非対称表の分析
253
正方対称行列の分析
254
正準対応分析CCA
255
共慣性分析と共対応分析
256
付録B 対応分析の計算
257
Rにデータを入力する
258
Rコードの例
260
X2統計慣性および距離
261
全プロファイル間のX2距離をdistを用いて計算する
262
計算されたCA座標をplotする
263
慣性と寄与
265
サプリメンタリプロファイル
266
サプリメンタリ連続変数
267
caパッケージのオプション
268
サブセット分析
269
ca packageの描画オプション
270
caパッケージのMCA関数
272
多変量カテゴリカルデータの準備
273
積み重ね表
274
バート行列から積み重ね表を展開する
275
欠損値のリストワイズ除去
276
バート行列のMCA
277
調整されたMCA解
278
同時対応分析
279
サブセットMCA
280
照応行列の分析
281
正準対応分析CCA
283
リサンプリングによる推定
285
並べ替え検定とブートストラッピング
286
加重ワード法クラスタリング
287
LaTeXグラフィックス
288
Excelグラフィックス
289
付録C 用語集
291
付録D 対応分析関係の参考文献
297
1984年に刊行された2冊の英語の書籍
298
CARMEの成果
299
Rの利用
300
付録E エピローグ
303
両方を同時に手にいれることはできません
304
稀な低頻度なカテゴリ
306
低頻度カテゴリは大抵外れ値である
307
X2距離はマハラノビス距離である
309
解の回転
310
対応分析とモデリング
311
多変量カテゴリカルデータセットの次元数
312
データセット一覧
314
訳者おわりに
315
索引
318
奥付
325
著作権

多く使われている語句

著者について (2020)

Michael Greenacre(マイケル グリーンエーカー)

1951年南アフリカ生まれ。1970年ケープタウン大学で、数学・統計学分野で学士。1972年南アフリカ大学で、統計/計算機科学分野で修士。1978年Jean-PaulBenzécri の指導の下、旧パリ第6 大学(現ソルボンヌ大学)で博士号。1982 年南アフリカ大学統計学部教授を経て、1999年より、スペイン、バルセロナのポンペウ・ファブラ大学経済経営学部教授。CARME(対応分析と関連技法に関する国際会議)の主宰者。ギターとピアノの演奏家でもある。

藤本一男(ふじもと かずお)

1955 年東京都生まれ。1978 年上智大学理工学部電気電子工学科卒業。工業計器メーカーでの設計部門勤務を経て、1981 年より日本メモレックス株式会社で、メインフレーム接続の周辺機器の日本語化、日本語端末などの設計開発に従事。1990 年から2 年間、教育休職を取得し、東京都立大学社会科学研究科社会学専攻に入学。1992年「G.H.ミードにおけるシンボルとコミュニケーション」で社会学修士。復職後、営業企画部門に異動。1998 年より、津田塾大学などで非常勤講師。2002年より、作新学院大学人間文化学部で社会学担当教員。2006年より、同大学教授。2020 年3 月定年退職。同大学名誉教授、客員教授。津田塾大学、実践女子大学で非常勤講師。

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