失くした「言葉」を取り戻すまで: 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私

前表紙
文藝春秋, 2023 - 192 ページ
忽然と姿を消した人気コラムニストの約17年ぶりの新刊は、愛と笑いに溢れた120%ポジティブ闘病記!

2009年11月、頭に激痛が走り「くも膜下出血なので今すぐ開頭手術を」と診断されたのに、手術を拒否して病院から帰宅。1週間後に手術を決意し受けたところ、くも膜下出血とは別の箇所で脳梗塞を発症、左脳の1/4が壊死して、目覚めたときには、利き手だった右手に麻痺がでて「お母さん」「わかんない」の2語しか話せなくなっていた......。

「左脳を大きく損傷した私は、かなりのことがわからなくなっていました。自分が自分であることはわかる。でも自分の名前も、数字も、時計も、言葉も、常識もわからない。少し前まではふたりの子どもを育てながら、大量の原稿を書いていた私が、ほとんど赤ちゃんのような状態になっていました。」(本文より)

1987年に『週刊文春』で「おじさん改造講座」の連載をスタートさせて以来、高速タイピングで小気味よい文章を次々と生み出してきたコラムニストが「言葉」を失う。そんな悲劇的な状況でも「絶望してもしょうがない」と明るく受け止めて、家族や友人、医師、言語聴覚士、理学療法士らに支えられながら、日々を楽しみつつ前向きにリハビリを続け、再び長い文章が書けるようになるまで。
「いずれ本を書くときの資料になるはずだ」と、カセットテープに録音しておいた手術前後の家族との会話、夫の当時の日記、実際の脳のMRI画像、担当の医師や言語聴覚士、理学療法士に著者本人が取材して得た証言を織り込んで、失語症になった当事者自らがパソコンのキーボードを一文字一文字打って綴った渾身のノンフィクション。

カバーの「脳みそちゃん」の制作は、人気ぬいぐるみ作家、片岡メリヤスさんが担当。

他の版 - すべて表示

書誌情報