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巨大津波―語りつぐー小さな町を呑みこんだ

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  • サイズ B6判/ページ数 399p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093882941
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

宮城県亘理郡山元町民の被災証言集。

宮城県亘理郡山元町(2011年2月人口16,695名。世帯数5561)は、東日本大震災で、総面積の65%が浸水、700人近い死者と行方不明者、3000棟を越える全半壊家屋がありました。地元で民話の保存・普及活動を続けてきた「やまもと民話の会」は、生き残った者がなすべきこと、という思いで、町民60人の被災証言を聞き取り、3冊の冊子を自費出版。これが復興に取り組む人々の間で話題を呼び、2012年3月、震災から2年を目前に、1冊にまとめた全国版として出版しました。

現在進行形の被災地で、被災した当事者が聞き取りをまとめた例は世界でもほかにありません。この本の意味について東京学芸大学教授 石井正己さんが巻頭辞で触れてくださいました。
「ここには新聞の記事やテレビの番組、識者の書物には見られない生の声があります。…(中略)この本にあふれるのは、この町で一緒に生きてゆくという絆です。この本には、復興や防災を人任せにしないという強い意志があります。東北地方で復興に苦しむ方々はもとより、全国の人々に読んでいただきたいと思う所以です。」(一部抜粋)



【編集担当からのおすすめ情報】
やまもと民話の会は、庄司アイさんをはじめ、70代の女性が中心の7名の会です。自分たちも家を流されたり、大切な人を亡くされたり、という壮絶な体験のなかで「語りつごう」を合い言葉に、町の人々の消息を訪ね、証言をとり続けました。上記でご紹介しましたが、このような証言集は世界に例を見ないものだそうです。
被災から5か月後に第1集『証言』を、9か月後に第2集『声なき声に寄りそう』を、1年後に第3集『鎮魂・復興へ』を刊行、メディア取材も相次ぎ、3冊あわせて発行15,000部までにもなりました。
この貴重な証言集を後世に残し、語りついでもらうために、震災から2年目に、ハードカバーの書籍にまとめました。
東日本大震災を忘れないために、そしてこれから来る首都直下型地震や南海トラフ地震に備えるために、ぜひ手にとっていただきたい1冊です。

この本の巻頭には、山元町教育委員会教育長・森憲一さんにも原稿を寄せていただきました。一部抜粋して紹介させていただきます。
「あの震災の直後から、私たちは、全国各地の皆様方から心温まるご支援をいただいてまいりました。誰しもが我が身を捨てて救いの手を差し伸べてくれました。それは到底数えあげることができません。(中略)私たちにもしできることがあるとすれば、これからの未来を生き抜き、この郷土の復興を担う原動力となる心強くも頼もしい若人を育て上げていくことと、もう一つは、今回の震災の状況と助けていただいた命の大切さや様々な思いを語り継いでいくことだと思っています。…少しずつ聞こえてくる復興の槌音とともに、発刊はこの上ない大きな喜びです」(一部抜粋)。


語りつがれた貴重な記録 東京学芸大学教授 石井正己
発刊に寄せて 山元町教育委員会教育長 森憲一
宮城県「巨大津波」浸水域図
大震災に関する山元町の資料より

第一集・証言
はじめに
津波体験
私の見た地獄絵
ボランティアさんありがとう。いちご農家の再起へ
必死でマッサージ
民話は残った
瓦礫の中からやっとの思いで引上げられた
運があって生還
目の前でお父ちゃんが呑まれて
常磐線を越え、国道六号を越えた巨大津波
民生児童委員として

避難所のくらし
中央公民館
避難所の食事を担当して
姉の家族と共に
個人の家に避難した方々の声
仮説住宅に入った方々の声
大勢で過した避難所からの声
夫を送る・・・合同葬儀まで

山元のブランド、ホッキといちご
磯浜漁港を訪ねて
いちご産地復興へ
ブランドを消すな

思い
素早い判断で児童を救う・明暗に思う
FM「りんごラジオ」の開局と活躍
あとがき

第二集・声なき声に寄り添う
海と約束
津波体験
山元町を呑みこんだ第一波
洗濯機の中のようでした
コブシの木にすがって一時間
私の三月十一日
夢であってほしかった
思い出したくないあの日のこと
俺ぁの家族、犬と猫のこと
不安はつのるが・・・
「大丈夫がぁ-!」では、わがんねがった

聞き書き
あの日、あの時、あの一瞬
半年たった今、被災者のそれぞれの思い

ふるさとに寄せて
北海道よりみなさんへ
京都より山元への想い

消防団の活躍
会社を休んで救助活動
瓦礫の中で救助と捜索

避難所の運営
死者の慟哭、流された家の嘆きに耳を傾けて

悼む
水郷の楽園が天国へ

文化財は今
『お天王さま』その過去・現在・未来
山元町の文化財

語りつぐ
普門寺住職 坂野文俊さんを訪ねて
漁師魂を伝えたい
私も被災者なんです
野菜づくりに挑戦して
仕掛け水車が仮設住宅に
あとがき

第三集 鎮魂・復興へ
生きている三陸大津波記念碑
3.11を永遠に語りつぐ
津波体験
うわぁ、なんだ、まさか、嘘だべ
生と死の間の闘い
私が見た三月十一日
母さん
時を刻み続けた時計―いとこの最期
野鳥たちともサイナラ

鎮魂
あの日を忘れずに
ゴメンネ
徳子さんを偲ぶ
鎮魂・落花生祭・夫への伝言
鎮魂祭 二番作道から大空へ
鎮魂に寄せて

復興
水揚げ八十トン・第一山元丸
いちご産地復興へ…続き
復興した苺農家を訪ねて
復興のタネ、三重県多気町の大豆
山下駅の早期復旧を願う復興まつり


山元町に支援のボランティア
孤立して一年

防災
守る
大震災の心構え

一年
町民が一つになることの難しさ
一年経った今、みなさんの声
やまもと民話の会へ 励ましのお便り
八塚恵美子さんを悼む
一年を経て思うこと・あとがきに代えて

再出版にあたって
やまもと民話の会 紹介

内容説明

生死を分けた過酷な体験。目のあたりにした魔の光景。宮城県亘理郡山元町「やまもと民話の会」が町民被災を聞き取った証言集。命を守った一瞬の判断と助け合いを後世に伝える本。

目次

第1集 証言(津波体験;避難所のくらし;山元のブランド、ホッキといちご ほか)
第2集 声なき声に寄り添う(津波体験;聞き書き;ふるさとに寄せて ほか)
第3集 鎮魂・復興へ(津波体験;鎮魂;復興 ほか)